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2009年6月10日 (水)

O'pen BIC/ ISAF Introductory Rules for Racing, Std Event Rules

2009年5月28日記事『Introductory Rules for Racing(仮称:入門レースルール)』で「レースを始めようとし、レース経験が2年未満のセーラーのための新しいルール」について紹介しました。
http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/test-1.html

今回は「このルールを全面的に適用するO'pen BIC Class」についてレポートします。

Open_bic_boat_jpeg Open_bic_world_jpeg  O'pen BIC(オープン・ビック)は、ボールペンで有名なフランスの筆記具メーカーであるBIC社が2006年に開発した艇である。
BIC社のオーナーであるビック男爵は、かって1970年代に「アメリカスカップ」にチャレンジしたことでヨット界に名を馳せたことは知る人ぞ知るところである。

O'pen BIC艇のコンセプトには「オプティミスト世代とセーリング・ディンギ初心者との間をつなぐもの」とある。キャッチフレーズは"Pure Energized Sailing !(元気セーリング)"としている。
艇長:2.75m、艇重量:45Kg、セール面積:4.5m2、理想体重:65Kg、マスト:3.90m、フルバテン、ポリエステル・フィルム製セール、今流のプレーニング・ボート。オプティミスト・ボートとリグ、ダガーボード、ラダーがコンパチブル(共用可)。(左図)
このタイプの艇としてはすでに49er、29er等々があるが、2010年にシンガポールで開催される「第一回ユース・オリンピック」のセーリング競技艇に選定されたBYTE CⅡ(バイト)も同型で、斬新なスタイル、ハイ・パーフォーマンス、軽便性がいまどきの若者を惹きつける所以となっているのであろう。(それはそうと、来年に迫ったユース・オリンピック。日本チームはどうなっているのでしょう? シンガポールでは数年前からBYTEのナショナル選手権を開催し、海外から遠征組も含め溢れんばかりの選手層ですが???)

ハード面についてはこれ位にしておき、
O'pen BICの従来型クラスにはないソフト面での「二つの大きな特徴」について述べてみたい。

画一化された、規則でがんじがらめの?昨今のレース形態に警鐘を鳴らしているのかも知れない。

(1)きわめてシンプルなルールを適用すること。
   
The objective of the O'pen BIC Class is to create a fun format of racing that is as appealing as possible to young kids new to the sport of sailing. Having very simple rules is obviously part of this "appeal".
  O'pen BICクラスの目的は、セーリング・スポーツを始める若者たちにできるだけアピールするよう、楽しいレース形態を創造するものであること。きわめてシンプルなルールがこの"アピール"の顕著な要素である。

その基となるのが二つのルールである。
①ISAF Introductory Rules for Racing
   
対訳版 Dloadnowbutton_100「introductory_rules_for_racing_eng_jpn.pdf」をダウンロード
②O'pen CUP Standard Event Rules

     対訳版 Dloadnowbutton_101「open_cup_standard_event_rules_eng_jpn.pdf」をダウンロード
    2012-10-10追加・2012改訂版: 「obca_12_std_event_rules_020712_engjpn.pdf」をダウンロード

O'pen BICの大会では、「ISAF Introductory Rules for Racing」を「O'pen CUP Standard Event Rules」で追加/修正したものを「世界大会/国内大会のガイドライン」としている。

Standard Event Rulesの要点抜粋は次の通り。

Open_cup_standard_event_rules_jpeg世界/国内O’pen CUP標準大会規則」 2009年1月発効

次のルールは、すべての世界/国別 O’pen Cupsにおいて、主催団体によって、レース公示または帆走指示書のいずれかに含めなければならない。

1      規則
1-1  レガッタは"Introductory Rules for Racing V1"に定義された規則を適用する、ただし、下記で修正/追加したものは除く。・・・・・
4     帆走指示書
   帆走指示書は、大会の始まりのレース・ブリーフィングの間に説明される、またレース公示で通告されると共にレース掲示板に掲示される。
5     コース
   付属図はO’pen Cups 中に予測できるコースの形態を示している:スピード、スピード・スラローム、O’pen Cross〈オープン・クロス〉(必須の360°回転、転覆、フリースタイル・動作)、または異なる場所間の冒険レースを含む)。
   これらのコースは単なる例であり、各レースの最終的なコースは当日、レース・ブリーフィングの間に紹介される。
6     ペナルティー・システム
6.1   抗議は受け付けない。O’pen Cup’sは水上で解決し、プロテスト・ルームでは行わない。         
6.2   オン・ザ・ウオーター・ジュリーは"ペナルティー旗"を採用する。・・・・・
6.3  ペナルティーを侵したと現認された艇は、セール番号を特定され、ペナルティー旗を示される、そして1回の360°回転ペナルティーをするよう求められる。・・・・・

6.5   もしルールについてはっきりとわからないか、説明してもらう必要がある場合、セーラーは実際のレースが進行している外側でいつでも、ジュリーに近づいてよい。・・・・・

Open_bic_couses_l_jpeg_4 (2)コースは多岐に亘り、最も重要なのは帆走するスタイルであること。
  The style of courses can be expected speed, speed slalom, O’pen Cross (including compilsory 360°turns, capsize, freestyle moves), or dventure races between differenr locations.

  すでに標準的なコース形態として、スピード、スピード・スラローム、オープン・クロス(必須の360°回転、転覆、フリースタイル動作を含む)、または異なる場所を結ぶ冒険レースが示されている。(右図)

However, the most important is not the courses themselves, but the "style" that they are run. The key elements for the O'pen BIC Class Association are that :
- No matter what the wind, the length of the course is no more than 20-25 minutes long. Eg. little wind = short course, more wind = large course.
- The course does not stay the same all day long. For example, at the World O'pen Cup, we often set 1 course for 2-3 races, come back to the beach, set another course, and then go out for another 2-3 races. This gives the kids multiple starts + variety.
- An "adventure race" is often included at least once in all our events. That is, the racers sail to another beach and use their own navigational skills (few bouys) to get there. Of course this depends on the conditions at location that you have (for safety reasons).
- The O'pen BIC is a great reaching boat, and so the courses should not be solely "upwind" and "downwind" legs. We have often used the basic "banana course" to good effect also.

しかしながら、最も重要なのはコース自体ではなく、帆走する“スタイル”である。O'pen BICクラス協会のキイとなる要素は:
- 風がどうであろうとも、コースの長さは20分-25分を超えない。例えば、軽風=ショート・コース、それ以上の風=長いコース。
- コースは一日中同じのままにしない。例として、World O'pen Cupでは、2-3レースについて1コースを設け、ビーチに戻り、別のコースを設置し、その後別の2-3レースする。これらは子供たちに色々なスタートと変化を提供する。
- "冒険レース"は、すべての大会に少なくとも一度は含める。すなわち、レーサーは他のビーチへセーリングし、そこに(ヴイはない)到達するため自分自身のナヴィゲーション・スキル(航海技術)を駆使する。勿論、コースは、安全のため、場所のコンディションごとに決められる。
- O'pen BIC は優秀なリーチング・ボートである、そこでコースは"アップ・ウインド"と"ダウン・ウインド"レグだけではない。良い効果を生むために基本的な"バナナ・コース"もしばしば用いている。

これら「二つの大きな特徴」からO'pen BICの特性をまとめると次の通り。
 ①"Introductory Rules for Racing"に記載されたシンプルなルールのみを適用すること。
 ②帆走指示書、レースコース等は大会の始まりのレース・ブリーフィングで口頭にて説明されること。特にコースは日によって変化する。
 ③抗議(審問)はなく、すべて水上で解決されること。ペナルティーは軽微であること(失格はない)。ルールについての質疑応答が随時できること。
 
④コースは多岐に亘り、かつ帆走する"スタイル"を重んじること。標準的コースに必須の360°回転、転覆、フリースタイル動作があったり、冒険レースを含むこと注:通常のレースコースに360°回転、転覆が義務化されるのはまさに稀有!)

クラスの目的である『セーリング・スポーツを始める若者たちにできるだけアピールするよう、楽しいレース形態を創造する』、『極めてセーラー・フレンドリーで楽しい』O'pen BICのレースは一見の価値あり!

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本年7月25日から27日、オランダ・メデンブリックにおいてWORLD O’PEN CUP '09が開催される。今回日本から初参加する代表(招待)選手の選考レースが、4回のシリーズとして行われている。詳細については2009年6月5日「連戦!の6月」を参照されたい。http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/6-f242.html

〈引用〉O'pen BIC Class Association http://class.openbic.com/  O'pen BIC Company http://www.openbic.com/index.php

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