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2009年9月16日 (水)

抗議書シリーズ1 「フィニッシュ・マークとの接触と免罪」

いつも愛読いただきありがとうございます。
blogでは、「RRSを学ぶ」「セーリング競技規則」「ルール改訂」「This and that, Etcetra(あれこれ)」の4つカテゴリーに分類していますが、人気記事ランキング等の統計情報を見てみますと、当初の目的であるルールに関する記事へのアクセスが圧倒的に多いことがわかりました。
やはり「原点に戻らなければならない(Return to the starting point)と再認識をいたしました。

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そういったことで、今回から『抗議書シリーズ』として、実際にあったプロテストの中から、編集者が興味を惹いたものを独断で選び紹介したいと思っています。ただし、ここで紹介するものが必ずしも正しい判決ではない場合がある、ことをご諒解ください。

抗議書シリーズ1 「フィニッシュ・マークとの接触と免罪」

Protest_page1_2インシデントの詳細:
5レースのフィニッシュ時、自艇が内側、55番が外側にオーバーラップしながらうえのマークの方のフィニッシュラインに進んでいたが、自艇がマークをかわすためにルームを3艇身前から要求していたにもかかわらず、55番はラフしてきた。自艇は十分なルームがないままにフィニッシュし、その時にマークに接触してしまった。
その後、自艇はマーク・タッチにより、規則31, 44.1にもとづき、1回転ペナルティーの履行を行い、フィニッシュ・ラインの外側から再びフィニッシュ・ラインを通過した。
以上により18.2(a) にもとづき55番を抗議し、60.1(a) に従い順位の救済を要求します。

認定した事実:
Protest_page2_jpeg_2 ① 艇2 および艇55は、ポート・タックのアビームで、艇2が風上、艇55が風下でオーバーラップし、風上側のフィニッシュ・マークにアプローチしていた。
② 艇55はゾーンに到達した時点でベア・ウエイし、続けて艇2もベア・ウエイし、両艇はオーバーラップしたままで、艇2が先行しフィニッシュ・ラインを横切り、直後に艇55もフィニッシュ・ラインを横切った。
③ 艇2 がフィニッシュ・ラインを横切る時、その左舷とフィニッシュ・マークとが接触した。その時の両艇間の間隔は、半艇幅であった。
④ 艇2はフィニッシュ・ラインを越えた後に1回転をし、再度フィニッシュ・ラインを横切った。
⑤ レース委員会は、2度目のフィニッシュをフィニッシュ順位として記録した。
⑥ 両艇間に接触はなかった。

艇  ..2... の見取図をプロテスト委員会は支持する X

結論と適用規則:
① 外側にオーバーラップした艇55は内側にオーバーラップした艇2 にマークを通過するためのルームを与えなかったので、規則18.2(a)に違反した。
② 艇2 はフィニッシュ・マークに接触し、規則31に違反した。しかしながら、この違反は艇55の規則違反により強制されたので規則64.1(c)に基づき免罪される。しかし規則44.1に従い1回転ペナルティーを履行した。
③ レース委員会が記録した「2度目のフィニッシュ順位」は、定義:フィニッシュにある「規則44.2に基づきペナルティーを履行した後のフィニッシュ」に従っている。
④ 艇2 の救済要求は、規則62.1の要件に該当しない。なぜなら、規則62.1は、その艇の得点が、“その艇の過失ではなく”明らかに悪くなったこと、を求めており、2 が自発的にペナルティーを履行し、2度目のフィニッシュをしたのは、自らの行動であるからである。

判 決:
抗議 :  艇 ....55... を失格とする  X
救済  :  与えない X

(解説)
Question_86_jpn_jpeg_21. 抗議艇の救済要求は、規則64.1(c) には「ある艇が規則に違反した結果、他艇が規則に違反せざるを得なくなった場合、他艇は規則64.1(a) を適用されず、免罪はされなければならない。」とあるので、相手艇の規則違反によりマークとの接触を強制されたので、相手艇の違反が認定されたならば、マークとの接触は免罪されるはずで、それならばマークとの接触はなかったものと考えられる。よって最初(第1回目)にフィニッシュした順位が本来の順位である、というものである。

2. この要求は一見リーズナブルに思われ、そのような判決になることを期待されそうであるが、①定義:フィニッシュ、および②規則62.1を適切に適用する場合、「結論と適用規則」に述べているように、救済要求は拒否されることになる。また、レース委員会の措置は規則に従ったものである。

3. US SAILING APPEALS and ISAF CASES <注:US Sailing が発行するCASE BOOK集(有料)>にまったく同じ事例がQUESTION 86 として掲載されているので参考にされたい。

抗議書 左ページ Dloadnowbutton_56「protest_page1_jpeg.jpg」をダウンロード 
抗議書 右ページ Dloadnowbutton_57「protest_page2.pdf」をダウンロード
US SAILING APPEALS QUESTION 86
原文 Dloadnowbutton_58「question_86.pdf」をダウンロード
US SAILING APPEALS QUESTION 86日本語訳 Dloadnowbutton_60「question_86_jpn.pdf」をダウンロード

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