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2010年5月29日 (土)

再: 読者からの質問と回答 「RRS14 接触の回避- ISAF CASE BOOKから」

読者からの質問「規則14-接触の回避- ISAF CASE BOOKから」 --- 2009-11-10記事の再編集

2009年11月8日(日)、久方振り(春以来)のルール・セミナーが開催され、その講師を務めまし た。あるクラス協会からの要請によるもので、予想を遥かに上回るメンバーに集まっていただき、予定時間を1時間以上もオーバーする盛況でした。さすが歴戦のセーラー軍団らしく実際例に基づいた質問が多く、ある聴講者からは自ら作成した「抗議書」を持ち込まれ、それについてのルール解釈を求められるケースもありました(難題でした)。一方的な講義形式でなく、Q&Aを主にした「会話型」の講習会の良さを実感するセミナーでした。

Contact_rrs_14_jpeg_2 今回のセミナーでは、教材として当blogでも紹介したBASIC SEPARATION RULES <基本となる航路権規則>(ホワード・エリオット)を使用しました。その冒頭には下記『衝突の回避』が述べられている。
『規則14:
常識的に可能な場合には、衝突を回避しなければならない。
プロテスト委員会はしばしば両艇を失格とする。
航路権艇、またはルームあるいはマークルームを得る資格のある艇は、損傷または障害がなければ、ペナルティーが課せられることはない。
衝突があったならば、両艇は衝突を回避する努力をしたことを、プロテスト委員会に立証する必要がある。』
2009-07-07記事:「BASIC SEPARATION RULES ルール解説・中級」 http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/s.html

また過去にも、当blogにおいて-接触の回避- をとりあげた。〈以下要旨〉
1. 「衝突を避けること。競技規則は衝突を避けるための防御的なものであって、攻撃的なレース用の戦術ではない」(Avoid collisions. Racing Rules are defensive to prevent collisions not offensive racing tactics. ドン・ベッカー US/IJ
2. 「可能なかぎり、すべての衝突を回避しなければならない」(You must avoid all collisions if possible. デイブ・ペリー US Sailing
3. 艇間で、第2章-艇が出会った場合-の規則違反があった場合、いずれか一方の艇に非があり、相手艇には非がないのが通常である。しかしながら、規則14-接触の回避-は、第2章に属する規則でありながら、他の2章規則とは趣を異にし、たとえ他の規則違反がなかったとしても、規則14の違反となることがある。
要は『規則14は他の規則と同列に扱われるものではない』ことを理解しておかなければならない。一つの独立した規則と解釈するのがよい。

2009-04-25記事:「規則14 -接触の回避- チャート: RRS14 N-S CHARThttp://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/14---dab8.html
RRS14 N-S CHART pdf: Dloadnowbutton「contact_14_jpn_page2.pdf」をダウンロード

Rrs_14_case_book_excel_jpeg_3 編集者は、セミナーにおいていつも“くどいほど”-接触の回避-について説明をしています。(特に今回のクラスは比較的大型であるため、衝突の悲惨さは言うまでもないことです)

今朝になって、丁重な礼状に併せ、『接触についてより詳しい解説はないか?』とのメイルを頂戴しました。

グッドタイミングといったらよいのでしょうか、たまたまセミナーで「今秋、ISAF CASE BOOK 2009-2012の邦訳版が発行された」ことを紹介しました。実は、この“権威ある”CASE BOOKには、多くの接触・衝突の事例があります。編集者の調査では全ケース数112件中の38件(じつに34%)が「接触に関わるケース」であることがわかりました。そこでまとめた資料が『CASE BOOK 2009-2012の解析』です。

CASE BOOK 2009-2012の解析pdf Dloadnowbutton_2「rrs_14_case_book_excel_ver2.pdf」をダウンロード

1. 航路権艇および/または非航路権艇は、接触の回避が常識的に可能ではなかったので(Not reasonably possible)、規則14に違反していない。

Case 2, 11, 23, 27, 30, 77, 87, 91, 93, 99

2. 航路権艇またはルームあるいはマークルームを得る資格のある艇は、接触の回避が常識的に可能だったので(reasonably possible)、規則14に違反したが、損傷または傷害を伴う接触がなかったのでペナルティーを課さない。《非航路権艇で、ルームあるいはマークルームを得る資格のない艇は、規則14に違反した(ペナルティーを課せられる)。》

Case 7, 10..... 多数

Qa_2010009_jpegCase_70_jpn_jpegCase 70
Case70は、航路権艇と「非航路権艇であるがマークルームを得る資格のある艇」とが接触したが「両艇ともペナルティーを課せられない」唯一のケースである。
(ただし、非航路権艇は他の規則11違反によりペナルティーを課せられ
DSQとなっている)
(対訳版)Dloadnowbutton_8「case_70_jpn.pdf」をダウンロード

Q&A 2010-009 
Case70
と同様、航路権艇と「非航路権艇であるがマークルームを得る資格のある艇」とが接触し「両艇ともペナルティーを課せられない」例である。
(この
Q&A
では、他の規則違反がなかったため両艇ともペナルティーを課せられない)
(対訳版)Dloadnowbutton_8「qa_2010009.pdf」をダウンロード

3. 航路権艇および非航路権艇の両艇とも、接触の回避が常識的に可能だったので(reasonably possible)、規則14に違反した。

Case 26, 54, 107
 
Case26_jpn_jpeg Case26_jpeg
3しか見当たらなかった「航路権艇および非航路権艇の両艇とも、接触の回避が常識的に可能だったので規則14に違反した。両艇を失格とする」例の1つであるCase26を紹介する。
Case26(原文)Dloadnowbutton_3「CASE26.pdf」をダウンロード 
Case26(日本語訳)Dloadnowbutton_4「case26_jpn.pdf」をダウンロード

CASE BOOKほど良い教材は他には見当たりません。ぜひこの機会に“精読”され、理解されることをお薦めします。


〈引用〉Understanding the Racing Rules of Sailing 2009 (Dave Perry), Basic Separation Rules (Howard Elliott), CASE BOOK 2009-2012, ISAF Question & Answer

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