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2010年8月31日 (火)

読者からの質問と回答 「マーク回航とペナルティー・ターン」

読者からの質問:
>JAPAN CUP 2010のプロテスト委員 お疲れさまでした。
>突然メイルにて失礼します。平素は、ブログを拝見し、RRSの勉強をさせていただいており、感謝しています。
先日,知人が遭遇した、マーク回航とペナルティーターンに関する質問がありメイルさせていただきました。実際のインシデントは、添付ファイルをご覧ください。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしく御願いいたします。
あなた様のブログは、私がRRSの勉強をするにあたり、最も参考になるサイトであり、 情報元となっています。いつまでも、お続けくださいますようよろしく御願いいたします。
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大阪在住のT.Hさんから上記のメイルをいただきました。
いつも当blogを閲覧いただきありがとうございます。また過分なお褒の言葉をいただき恐縮しています。既報のように8月18日から29日まで中国・青島(チンタオ)まで遠征し、現地での情報環境が悪質なため、回答が遅くなり失礼しました。

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Shitsumon_2

編集者による回答:
1. 認められる。

2. このインシデントには3つの規則が適用される。

規則28.1 コースの帆走
艇は、スタートし、それぞれのマークを正しい順序で定められた側で通過し、フィニッシュしなければならない。スタート後フィニッシュするまでのその艇の航跡を示す糸をぴんと張った場合、次のようになっていなければならない。
(a) それぞれのマークを定められた側で通過。…以下省略…

規則44.1 ペナルティーの履行
レース中に、第2章の規則に違反したかもしれない艇は2回転ペナルティーを履行することができ、規則31に違反したかもしれない艇は1回転ペナルティーを履行することができる。…以下省略…

規則44.2 1回転と2回転ペナルティー
艇は、インシデントの後できるだけ早く他艇から十分離れた後、1回のタックと1回のジャイブを含む回転を、同一方向に必要数だけ速やかに行うことにより、1回転または2回転ペナルティーを履行したこととする。

3. 規則を当てはめると、

艇は、マークを定められた側で通過したか?・・・・・YES
なぜなら、1回目の回転ペナルティー中にマークを定められた側で通過し、規則28.1に従っている。


第2章の規則に違反したかもしれない艇は2回転ペナルティーを履行したか?・・・・・YES

なぜなら、非航路権艇Pは航路権艇Sを避けていなかったので、規則44.1に従って2回転ペナルティーを履行した。


艇は、インシデントの後できるだけ早く他艇から十分離れ、規則どおりに回転したか?・・・・・YES
なぜなら、質問中に『このインシデントの発生域には、他のレース艇はおらず、P艇のペナルティーターンは、他艇の帆走に影響を与えなかった』との記述があるため (注:質問者は当規則の本質をよく理解されている)、他艇から十分離れたと認められ、かつ「1回のタックと1回のジャイブを含む回転を、同一方向に必要数である2回速やかに行った」ので、規則44.2に従っている。


よって艇Pは適用されるすべての規則に従っており(すべてYES)、いかなる規則にも違反していない。

Case108 4. ペナルティーの履行とマークの通過
また質問では「マークの通過と兼ねてもいいか?」を懸念されているようですが、マークの通過は「規則28.1に従いさえすればよい」訳で、ペナルティーの規則とはいかなる関わりもなく、切り離して考えてください。


なおケースブック108は、旧RRS2005-2008の「360度回転または720度回転」が、RRS2009-2012においては「1回転または2回転」に改訂されたことによる違いを示(解説)したもので、ペナルティー回転とマーク通過が同時にできるか否かを論じたものではありません。
(右図Case108は、マークとの接触の違反によって、360度には満たないが1回転ペナルティーを履行した例を示す)

ここでも、マークの通過とペナルティー規則は全く別個のものです。


(注)細かいことですが、旧来使用されてきた「マークの回航と通過」という表現はRRS2009-2012からなくなり、「通過」という表現に統一されました。(回航と通過はどう違うのかとの論議に終止符を打ったもので、回航という言葉を用いてはならない意味ではありません)

質問と回答pdf Dloadnowbutton「mark_and_penalty_turn.pdf」をダウンロード

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