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2010年9月16日 (木)

RRS第2章の規則はどの時点で適用されなくなるのか? その1

2010-12-05訂正(赤字部)
RRS
2章の規則(艇が出会った場合:航路権規則)はどの時点で適用されなくなるのか?

2章の前文は『第2章の規則は、艇がレース・エリア内、またはその近くを帆走していて、レースをしようとしているか、レース中か、またはレースをしていた艇間に適用する。ただし、レース中でない艇は、規則23.1の場合を除き、第2章の規則のいずれかに違反したとしてもペナルティーを課せられることはない。』と述べている。

まず「第2章の規則が適用されなくなるのは、艇がフィニッシュしてフィニッシュ・ラインとフィニッシュ・マークを離れた時からである」と大まかに解釈するのは、それなりに正しい。
それならば、フィニッシュした後の艇は第2章の規則には統制されず、単なる船舶(障害物扱い)に過ぎないのか?

すなわち、レース中の艇が、レース中ではない艇に対し規則違反した場合、何のペナルティーも課せられないのか?違反しなかったと同じことなのか?(やり得)
反対に
、レース中でない艇が、レース中の艇に対し規則違反した場合、何のペナルティーも課せられないのか?(やり得)
また、レース中ではない艇の行動により傷害または物理的損傷を被った艇には何の救済も与えられないのか?(やられ損)

しかし前文には『・・・レースをしようとしているか、レース中か、またはレースをしていた艇間・・・』とある。

この疑問に答える1つの事例を、解説します。

まとめ:第2章の規則はレース中の艇だけに適用するのではなく、“レースをしようとしている艇”、“レースをしていた艇”にも適用することを再確認してください。

下記事例は『フィニッシュはしたが、フィニッシュ・マークをクリアーしていないため、レース中である艇』をテーマにしたものである。2010-12-05
追加

Appeal_78_jpeg_2 事例: CYA APPEAL 78 (Canadian Yachting Association) The rules of Part 2 apply between boats that are racing and boats that have finished racing but are still sailing in or near the racing area.
(第2章の規則は、レース中の艇と、レースをフィニッシュしたがレース・エリア内またはその近くをまだ帆走している艇との間に適用する。)

事実の要約
30
ノットの風で、フィニッシュ・ラインはポート・タックに有利であった。S35フィート艇,はポート・タックでコミッティー・ボートに向かっていた、フィニッシュ・ラインを横切ってラフし、コミッティー・ボートのアンカー・ラインを避けるためスターボードにタックした。その後Sはフィニッシュ・ラインのコース・サイドに戻り、スターボード・タックを続けていた。Sはフィニッシュして約1分後、ポート・タックでフィニッシュするためフィニッシュ・ラインに接近しつつあったPと交差した。
P
Sのスターンを通過するためベアウエイした、しかし強風のなかで上方に向きを変え、Sと衝突した。両艇は抗議した。プロテストコミッティーは、Sは規則23.1に違反しなかったと判決した。プロテストコミッティーは、PSを避けていなかったと判決し、Pを規則10違反で失格とした。Pは上告した。

判決
2章の前文は、第2章の規則は、艇がレース・エリア内、またはその近くを帆走していて、レースをしようとしているか、レース中か、またはレースをしていた艇間に適用する、と規定している。それゆえに、第2章の規則は、たとえSがフィニッシュしたとしても、SPとの間に適用される、なぜならSはレース・エリア内を帆走していて、レースをしていたからである。
公式の見取図は、プロテストコミッティーによって判決された事実の一部でもある。見取図は、2艇が出会った時、Sはフィニッシュ・ラインの風下にあったのは明白であるが、ピンエンドに向かいフィニッシュ・ラインの長さの2/3のところを帆走していた、ことを示している。したがってSはフィニッシュ・マーク -この場合は、ピンエンド- をクリアーしておらず、まだレース・エリア内を帆走していた。レース中の定義に従って、Sはそれゆえにまだレース中であった。
Sは、インシデントの前またはその間のいずれもPを妨害するためのコース変更をしなかったので、規則14(a)、16.2、23.2または第2章の他のどの規則にも違反しなかった。上告は却下される。Pが規則10および14の違反でプロテストコミッティーによって失格とされたのは妥当であった。ISAF Case 104も参照。

解説
抗議書の「結論と適用規則・判決」はつぎの通り。
1.
スターボード・タック艇Sは、なんらの規則に違反していない。
(注:規則23.2に違反していない、また他の2章の規則に違反したとしてもレース中ではなかったため第2章の前文に従ってペナルティーを課さない。)2010-12-05訂正

2.
ポート・タック艇Pは、規則10および14に違反した。Pを失格(DSQ)とする。

CYA APPEAL 78 pdf Dloadnowbutton: 「cya_appeal_78.pdf」をダウンロード

数年前の
J/24のレースで類似のインシデント(ケース)を経験しました。
アドバイス1: フィニッシュしたら(安心しないで)、いち早くフィニッシュ・ラインとフィニッシュ・マークから離れること。
アドバイス
2: レース中は、レース・エリアまたはその近くを帆走中のすべての艇に(レース中でない艇にも)注意を払うこと。野球は9回裏3アウトをとるまでわかりません!


新たな質問

この例の裏返しで、Pがスターボード・タック、Sがポート・タックであったとしたら、この判決はどのように異なるのか?一度考えてみてください

回答
関連記事:2010-09-13「RRS第2章の規則はどの時点から適用されるのか?」を参照。http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/rrs2-2c14.html

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