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2011年5月13日 (金)

読者からの質問と回答 「フィニッシュは流し込み? まわり込み?」

読者からの質問;   
>フィニッシュについて
> SIsにおいてよく見られる「フィニッシュ・マークはスターボードの端にあるレース委員会信号艇とポートの端にあるブイとする(付則L9.4記載の例)」、「フィニッシュ・ラインは、スターボードの端にあるフィニッシュ・マーク上にオレンジ色旗を掲揚しているポールと、ポートの端のフィニッシュ・マークの間とする(付則L13 記載の例)」とするレースにおいて、S旗が掲揚された場合、定義:フィニッシュと規則28.1と規則32.2の間の規則の優先性はどうなりますか?
> すなわち上記SIsで、風下マークでコース短縮をする場合、運営艇が風下マークの右側(風上に向って)に位置してS旗を揚げた時、選手はどの規則を根拠に、どのようにフィニッシュしなければならないのでしょうか? 流し込みですか、まわり込みですか?


編集者による回答;
Hook_round_finish_2 1. 質問の場面を図示すれば右図のようになります。
もし編集者が選手だとすれば、青色艇のコースでフィニッシュします。すなわち「流し込み」です。黄色艇のコースはとりません。

理由は簡単明瞭で、プロパー・コースを帆走していたならば「流し込み」の方が「まわり込み(かぎまわり)」より早くフィニッシュでき、且つ次の理由(裏づけ)があるからです。

2. SIsにある「フィニッシュ・ラインは、スターボードの端にあるフィニッシュ・マーク上にオレンジ色旗を掲揚しているポールと、ポートの端のフィニッシュ・マークの間とする」は、すべてのマーク(全コース)を通過し、すなわちコースの短縮なしに、フィニッシュする場合を述べているのであって、質問にあるコース短縮の場合はこの指示は該当しないと、解釈すべきです。

3. それゆえコース短縮の場合は、
定義:フィニッシュ「艇体、または正常な位置にある乗員もしくは装備の一部が、......最終マーク のコースの方向でRRS2013-2016変更: コース・サイドから>フィニッシュ・ラインを横切るとき、艇はフィニッシュするという」、および
②規則
32.2「レース委員会が、コースの短縮信号(音響2声と共にS旗を掲揚)を発する場合には、フィニッシュ・ラインは、以下でなればならない。(a) 回航マークにおいては、その回航マークとS旗を掲げたポールとの間」、
2つの規則に従い、「流し込み」をしなければ、フィニッシュが記録されないことになる。

4.
 「まわり込み」をした場合は、定義にある.....最終マークからのコースの方向<コース・サイドから>に反するため、フィニッシュとは記録されない。

5. この解釈は極めて常識的であり、もしSIsにある「フィニッシュ・マークはスターボードの端にあるレース委員会信号艇とポートの端にあるブイとする」文面が、「フィニッシュ・マークはスターボードの端にあるレース委員会信号艇とポートの端にあるレース委員会艇とする」の文面であったとすると、コース短縮時のフィニッシュ・ラインは、規則32.2の回航マークにおいては、その回航マークとS旗を掲げたポールとの間」しかあり得ない訳で、こうしたことからも「流し込み」が規則に則った
フィニッシュであることは明白である。また一見紛らわしく思える当SIs(付則L)の表現についても、特殊なものではなく一般的に認知されているものである。

6. しかしながら、コース短縮” ではなく、すべてのマークを通過し、フィニッシュする場合のフィニッシュ・ラインにおける運営艇の位置については、このような曖昧なことは許されず、極めて厳格なものとなる。
そもそもこのような面倒?なことになってしまったのは、Sを揚げた運営艇が『風下マークの右側(風上に向って)に位置した』のが原因である。RRS62.1(a)に述べるレース委員会の不適切な処置または不手際と断定せざるを得なく、選手に混乱を起こさせるこのような運営は決して推奨されるものではない。

Case45_jpegISAF CASEBOOK Case45 に、フィニッシュ・ラインで発生した類似のケースが掲載されているので紹介しておきたい。
1. Case45の要約とまとめ

(要約)レース委員会の誤りのせいで艇が正しくフィニッシュしなかったが、その結果として、レースをしていたいずれの艇も有利にも不利にもならなかった場合、適切かつ公平な救済は、すべての艇にフィニッシュ・ラインを横切った順に得点を与えることである。
(まとめ) 
・ 定義「フィニッシュ」と矛盾する帆走指示書は無効であり、レース委員会の行為は不適切であった。
・ しかしながら、どの艇もレース委員会の誤りによって、有利にも不利にもなっていなかった。
・ 最終成績は、フィニッシュ・ラインを横切った方向にかかわらず、すべての艇がフィニッシュ・ラインを横切った順の得点となる。

2. このケースでも、
もし編集者が選手だったとすれば、上記回答と同じく、「流し込み」のフィニッシュを選択するでしょう。
理由は簡単明瞭で、プロパー・コースを帆走していたならば、流し込みの方が「まわり込み」より早くフィニッシュでき、定義:フィニッシュの理由(裏づけ)があるからです。
万一レース委員会がこのフィニッシュを記録していないことが判明した場合(通常はないだろうし、そう願っているが)、定義およびCase45を根拠に救済要求し、救済が与えられるものと確信する。

3.
しかしながら、もし「まわり込み」をした艇があった場合、どうなるのでしょう。
その艇がまわり込みをした理由は、“ひたすら”SIsに従ったものである。この場合レース委員会は、自らが指示した方法で艇がフィニッシュした訳であるがゆえに、このフィニッシュを記録するのは当然であろう。万一記録していないことが判明した場合、Case45を根拠に救済要求し、おそらく救済が与えられるであろう。

4. むしろ一番心配なのは、フィニッシュ順位を記録するレース委員である。
(a) レース委員会自身が作成したSIsであるゆえに、SIsを“かたくなに”守り、レース委員会信号艇をスターボードに見てフィニッシュする艇、すなわち「まわり込み」の艇のみのフィニッシュ順位を記録する。
(b) それとも、定義:フィニッシュには「艇体、または正常な位置にある乗員......が.最終マークからのコースの方向で<コース・サイドから>フィニッシュ・ラインを横切るとき、艇はフィニッシュするという」とあるため、SIsには反するが、「流し込み」の艇のみのフィニッシュ順位を記録する。
(c) 念には念を入れ、どちらからの艇もフィニッシュ順位を記録する。
のいずれをとるのでしょうか?
Case45を知っていたならどちらからでもフィニッシュ・ラインを横切った時の順位を記録しておく』のが肝要ですね。
それにしてもこのケースのように、レースの後で救済要求等の紛らわしいことになるのは必至でしょう。
ISAF CASEBOOK Case45:「Case45.pdf」をダウンロード

Case82_20131016_jpeg_3**
ISAF CASEBOOK Case82 にもまた、フィニッシュ時の紛らわしい例が掲載されている。
ケース82
(要約)フィニッシュ・ラインが最終レグとほぼ一直線になっていて、定義に従ってフィニッシュするために、フィニッシュ・ラインをどちらから横切るのが正しいのか判断できない場合、艇はいずれの方向でもラインを横切ることができ、その艇のフィニッシュは、それに従って記録される。

ISAF CASEBOOK Case82:「case82_20132016.pdf」をダウンロード


質問に対する回答をまとめると、SIsにおいてフィニッシュ・マークのスターボード側、ポート側を定めた限りは、このような面倒?なことにならないように、S旗を揚げる運営艇は『風下マークの左側(風上に向って)に位置』するのが最善です。
正確には、『フィニッシュ・ラインは、定義:フィニッシュに基づき、最終マークからのコースの方向から<コース・サイドから>おおむね直角に横切るように、またS旗を揚げる運営艇は、SIsを誤解(曲解?)して解釈されたり、不備を追及されないためにも、スターボードの端に位置するように』してください。
諺にいわく転ばぬ先の杖”ですかね。

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定義 フィニッシュ
艇体、または正常な位置にある乗員もしくは装備の一部が、次のいずれかの場合で最終マークからのコースの方向で<RRS2013-2015 コース・サイドから>フィニッシュ・ラインを横切るとき、艇はフィニッシュするという。 ・最初のとき ・規則44.2に基づきペナルティーを履行した後 ・規則28.1に基づいてフィニッシュ・ラインで行なった誤りを正した後

規則28.1
艇は、スタートし、それぞれのマークを正しい順序で定められた側で通過し、フィニッシュしなければならない。スタート後フィニッシュするまでのその艇|の航跡を示す糸をぴんと張った場合、次のようになっていなければならない。
(a) それぞれのマークを定められた側で通過。
(b) それぞれの回航マークに触れること。
(c) ゲート・マークならば、その前のマークの方向からゲート・マークの間を、通過。
艇は、この規則に従うために誤りを正すことができる。 フィニッシュ後は、艇はフィニッシュ・ラインを完全に横切る必要はない。

規則32.2
レース委員会が、コースの短縮信号(音響2声と共にS旗を掲揚)を発する場合には、フィニッシュ・ラインは、以下でなればならない。
(a) 回航マークにおいては、その回航マークとS旗を掲げたポールとの間。
(b) 各ラップの終わりに艇が横切らなければならないラインにおいては、そのライン。
(c) ゲートにおいては、ゲート・マークの間。
コース短縮は、先頭艇がフィニッシュ・ラインを横切る前に信号を発しなければならない。

規則86.1
競技規則は、その規則自体で認められているか、または次の場合を除き変更することはできない。
(a)
各国協会規程では、競技規則を変更することができる。ただし、次の規則は変更することができない。 定義序の中の規則、スポーツマンシップと規則、第1章、第2章、第7章、規則42436970717576.27980、以上の規則のいずれかを変更している付則の規則、または付則HNISAF規定19202122
(b) 帆走指示書では、競技規則を変更することができる。 ただし、規則76.1、付則F、規則86.1(a)
に記載された規則を変更することはできない。・・・・・

《注》 2013年追加: 定義:フィニッシュは、旧RRS2009-2012では「最終マークからコースの方向でフィニッシュ・ラインを横切るとき」であったが、新RRS2013-2016において「コースサイドからフィニッシュ・ラインを横切るとき」に改定された。

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