チームレース・シリーズ その6 (Team Racing-Course & Start)
チームレース・シリーズの第6回です。今回は「チーム・レーシングのコース」と「チーム・レーシング・スタート方式」を紹介し、シリーズの最終回とします。 長い間のご清聴(読)ありがとうございます。Enjoy Team Racing!
--------------------------------------------------------------------------
「チーム・レーシングのコース」
ヨットレースのコースは、RRS Appendix L Addendum A (付則L付属書A)に基本的コースの例示がある。A Windward-Leeward Course (風上-風下)、A Windward-Leeward-Triangle Course (風上-風下-三角)、Trapezoid Course (台形)。 『フリート・レース』においては、ディンギではこの3種およびその変形が、キールボートでは主として風上-風下コースが採用されている。
また『マッチ・レース』では、風上-風下コースを使用するが、マークの回航(通過)が、一般的なフリート・レースがいわゆる「反時計まわり(Anti-Clock round: マークをポートに見て回航)」であるのに対し、「時計まわり(Clock round: マークをスターボードに見て回航)」としている。
一方、『チームレース』においては、先に述べたようにその特性がチューニング、ボートハンドリング、タクティクスを駆使した知的ゲームであることが故に、種々の工夫をこらした自由闊達なコースが考えられてきた。
またレースは参加チームの総当たり制(Round robin)が基本であることから、1レースに要する時間は8分-15分と極めて短い。そのため、他のレースのように広い水面(海面)は必要とせず、近辺の川とか池のように限られたエリアでコース設定が可能なよう、フレキシブルで、一見奇抜なコース(右図)が登場してきた。(与えられたものを後追する日本的発想?は無用である) 最近のISAF Team Racing およびOptimist Worlds/ North American/ Asian では、 Starboard hand ‘S’ course (右手S字)またの名をBox/Zulu course (箱形Z), Starboard LETTER N BOXED course (右 N字箱形)が採用されている。
日本開催の14 Footer Worlds 2003でもこのコースであった。
マークの回航(通過)を、時計まわり(Clock round)が2回、反時計まわり(Anti-clock round)が2回となるようアレンジされたコースである。
これはチャンピオンシップの1例であり、普段のレースではこれにこだわる必要はなく、まさに与えられた環境の中で工夫を凝らすのも、チームレースの楽しみの一つであろう。
--------------------------------------------------------------------------
「チーム・レーシング・スタート方式」
(SIs例1:Optimist European Team Racing Championship 2007)
11 スタート
11.1 下記のスタート方式を使用する。規則26は適用しない。
11.2 次に対戦するチームは、チーム番号を表す2枚の旗によって指示される。
旗はチーム番号がついた白色旗である。(以下、識別旗という)識別旗は視覚信号として用いられる。
11.3 スタートの手順 (方式1)
予告信号:識別旗掲揚 長音3声 (スタート3分前)
準備信号:P旗掲揚 長音2声 (スタート2分前)
1分前: P旗降下 長音1声 (スタート1分前)
30秒前: 短音3声
20秒前: 短音2声
10秒前 短音1声
スタート信号:識別旗降下 長音1声
11.4 信号は一番初めの信号を基準として計時される。
11.5 艇は、スタート信号の2分以降はスタートできない。
11.6 これに続くレースの予告信号は、前のレースのスタート後、レース委員会の裁量により、任意に発せられる。
11.7 リコール
スタート信号時に、艇が規則29.1に従わなければならない場合、レース委員会は速やかに音響信号一声と共にX旗を掲揚し、その艇のセール番号を呼ぶ努力をする。信号はスタート信号後2分以内とする。レース委員会はリコールおよびその解消した艇に対しては、口頭で伝えるが、あくまでも責任は艇にある。これは規則29.2および41を変更している。
(SIs例2: ISAF Team Racing World Championship 2005)
10 スタート
10.1 次に対戦するチームのメインセールの色を示す旗を、レースの予告信号に先立ちレース・コミッティー・ボートに掲揚する。
10.2 レシーケンスが始まる前、注意を喚起するために、連続短音が発せられる。
10.3 音響信号が適用される、さらに補助の視覚信号も使用される。
10.4 信号は一番初めの信号から計時される。
10.5 レースは次のとおりスタートする。これは規則26を変更している。
(方式2) 信号 音響 スタートまでの時間(分)
予告信号 長音3声 スタート3分前
準備信号 長音2声 スタート2分前
長音1声, 短音3声 スタート1分30秒前
長音1声 スタート1分前
短音3声 30秒前
短音2声 20秒前
短音1声 10秒前
短音1声 5秒前
短音1声 4秒前
短音1声 3秒前
短音1声 2秒前
短音1声 1秒前
スタート信号 長音1声 0
10.7 規則29.1は次のとおり変更する。
a) X旗はスタート信号後2分以内掲揚する。
b) レース・コミッティーは、リコールした艇のセール番号を呼ぶ。競技者がこの声を聞かなかったことは救済の根拠にならない。これは規則62.1(a)を変更している。
10.9 スタート信号後2分以上遅れてスタートする艇はDNSと記録される。これは規則A4を変更している。
(SIs例3:IODA World Sailing Championship Team Racing 2010)
13 スタート
13.1 レースは次のとおりスタートする。
(方式3) 信号 スタートまでの分 音響信号 視覚信号
予告信号 3 1声 クラス旗掲揚
準備信号 2 1声 P旗掲揚
1分前 1 1声 P旗降下
スタート信号 0 1声 クラス旗降下
これは規則26を変更している。
13.4 レース番号およびチームの国コードは、予告信号以前に、レース・コミッティー・ボートの後部に掲揚する。・・・・・
13.7 スタート信号後2分以上遅れてスタートする艇は審問なしにDNSと記録される。これは規則A4とA5を変更している。
チーム・レーシング・コース PDF:「course_pdf.pdf」をダウンロード
チーム・レーシング・スタート方式 PDF:「start_pdf.pdf」をダウンロード
関連記事:2011-06-19「チームレース・シリーズ その1,その2,その3,その4,その5」
http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-bdb0.html
http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/22-2451.html
http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-1782.html
http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-975e.html
http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-ce6b-1.html
| 固定リンク
「Racing Rules of Sailing (RRS)」カテゴリの記事
- セーリング競技規則における「艇体」の意味 - Q&A 2021.002(2021.01.12)
- Rules Chart 2021-2024(2020.12.25)
- iQFOiL Class - The 2024 Olympic Windsurfing Class(2020.12.22)
- Windsurfing Competition Rules 2017-2020 - Powerpointプレゼンテーション(2020.12.11)
- Summary of Changes in the 2021-24 Rules(2020.12.10)
コメント