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2011年8月10日 (水)

マークに近づく場合のタッキング/2011全日本ミドルボート選手権成績表 

全日本ミドルボート選手権レポート・成績表
2011_result_2 添付の
レガッタ・レポートから抜粋した「レースの特徴」は下記のとおりである。
 ハンディキャップ・レースではあるが、ミドルボートと云うLH(全長)が7.9m-11.0m の制限があること、および同型艇が多いこと(X-35 OD4艇、YAMAHA 333艇、VITE314艇)、の二つの理由から、あたかもワンデザイン艇のレースのごとく、艇がオーバーラップおよび交差するシーンがしばしば見られ、エキサイティングで緊迫したレースが展開された。
 成績表でも明らかなように、各艇の力は極めて伯仲し、レース委員長の言によると、『ハンディキャップ・レースではあまり見かけない鼻の差のフィニッシュが多く、目視、ヴィデオ録画、音声録音が欠かせず、最後の最後まで緊張の連続だった』とのことである。
 「第1風上マークの通過」において、多くの艇がオーバーラップ/交差する場面が多発した。また風またはコース取りの影響からか、ポート・タックでのアプローチが比較的多く、規則18.3「マークに近づく場合のタッキング(ゾーン内でのタッキング)」が適用されるケースがしばしば発生した。そうした中で選りすぐりの参加艇は巧みな操船によりインシデントを回避していたが、残念ながら1件の抗議があり、「ゾーン内でタックした艇が、規則18.3(a)違反により失格」となった。
 また、風上マークに向かう艇と風上マークを回航直後の艇(共にポート・タック艇)が接触し、風上マークに向かう艇のマストが損傷(上架許可後チェック)するインシデントがあった。
これもポート・タックでのアプローチが原因の一つかも知れない。

気懸りなのは、「風上マークへのアプローチ」において、ハラハラ?・ドキドキ?するシーンを通常になく多く見かけたことである。艇間に怒号?が飛び交っていたのも事実である。3艇身ゾーンにおいて、ポート・タック艇がスターボード・タック艇の風下前方でタックし、きわどいけれども(リスキーに)有利な位置につこうとしたシーンが少なくなかった。

Smileys_fffa_2 Dave Perry 著「Understanding the Racing Rules of Sailing 2009-2012」(日本語版「セーリング競技規則の解説」)には、Bad Approach Zone, Good Approach Zoneの図示があり、そこには『規則18.3は、ポート・タック艇が、混雑しているポート回りの風上マークにアプローチする場合、ポート・タックのレイラインからおおよそ4艇身風下でアプローチし、明らかにゾーンの外側でタックを完了することを、期待、推奨しているものである』との記述がある。 (右動画:Good Approach Zoneの例
要は、規則18.3は、混雑する風上マークにおいて発生する厄介で危険な交通渋滞を最小限にとどめようとする、意図があると言って過言ではない。


釈迦に説法となるが、改めて記事「実践ルール講座シリーズ④-規則18.3」を解説しておきたい。

RRS2009-2012 規則18.3: マークに近づく場合のタッキング
反対
のタックの2艇がマークに近づいており、他の1艇はマークをフェッチィングしており、もう一方の艇がタックを変更し、結果的にゾーン内で規則13に従わなければならない場合には、それ以降規則182
は適用しない。タックを終了した艇は、

(a) 相手艇に自艇を回避するためクロースホールドより風上を帆走させたり、または相手艇がマークを通過するのを妨げたりしてはならない。
183 (b)
相手艇が自艇の内側にオーバーラップした場合には、マークルームを与えなければならない。

規則18.3(a)の解説》
ポート・タック艇がゾーン内でタックを完了した場合、あらかじめマークにねらいを定めてきたスターボード・タック艇が追いついて、自艇との接触を避けるために、「クロースホールドより風上を帆走せざるを得ない」または「ベア・ウエイしてマークを通過できなくなる」ならば、(タックした)自艇は規則18.3(a)に違反している。
相手艇が、クロースホールドまでラフしたのであれば、規則18.3(a)
に違反はしていない。

《規則18.3(b)の解説》
タックした艇は、相手艇を避けるだけでなく(規則11)、相手艇がマークを回航または通過するためのマークルームを与えなければならない。
要は、内側にオーバーラップをした艇は、タックした艇にルームを与えることも避けることも、必要ない。
しかも、相手艇に対し航路権を得る場合は、規則15(航路権の取得)および規則16(コース変更)に支配されない。
なぜならば、規則18.5〈免罪〉は、マークルームを得る資格がある艇が、強制されなかったかも知れない規則違反に対しても、免罪を与えている。それゆえ、規則64.1(c)〈免罪〉
は適用できないが、規則18.5が(適用し)免罪を与える。
2011.10.20 右上図:実践ルール講座シリーズ④を修正しています。


参考までにマーク回航において適用される「規則の変遷」を図示しておく。
“タックした艇には制約を受ける規則が連続する”ことを理解いただきたい!

101 102 103
13183 12 11
《スターボード・タック艇の制限》
スターボード・タック艇に対する唯一の制限は、スターボード艇がクリア・アスターンから風下にオーバーラップし、規則
17が適用される場合には、自艇のプロパー・コースより風上に帆走することが許されないことである。この場合は、風下にオーバーラップした艇はプロパー・コースをとり、風上マークを小さく回航しなければならない。
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Dsc07896_2RRS2009-2012 規則18.5: 免罪
ルームを得る資格のある艇がマークルームを帆走している場合、次の場合には免罪する。
(a) 相手艇がマークルームを与えなかった結果、A節の規則に違反した場合、 
または
(b) プロパー・コースを帆走してマーク回航することでA節の規則または規則15あるいは16に違反した場合。


規則17: 同一タックでのプロパーコース
クリア・アスターン艇が、同一タックの相手艇の風下に自艇の
2艇身以内でオーバーラップした場合には、両艇が同一のタックで2艇身以内の間隔でオーバーラップが続いている間、その風下艇はプロパー・コースより風上を帆走してはならない。(中略)この規則は、風上艇が規則13により避けている必要がある間にオーバーラップした場合には、適用されない。


実践ルール講座シリーズ④-規則18.3, 18.4, 18.5:「18.3 2009-2012.pdf」をダウンロード 
レガッタ・レポート:「2011_all_japan_middle.pdf」をダウンロード

成績表(7ページ):「Middle2011Result.pdf」をダウンロード

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