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2011年9月23日 (金)

マークに近づく場合のタッキング/2011シアトルカップ - プレゼンテーション

シアトルカップ レポート (マークに近づく場合のタッキング)
1_2 RRS規則の視点から本大会の特徴をまとめてみた。
 ハンディキャップ・レースではあるが、ミドルボートと云うLH(全長)7.9m-11.0mの制限により性能差が少ないこと、および同型艇が多いこと(YAMAHA33- 3艇、VITE31 -4艇、FARR31 -2艇、YAMAHA30- 2艇)の二つの理由から、あたかもワンデザイン艇レースのごとく緊迫したレースが展開された。
 18日はIRCクラスを対象にしたインショア・レースが3レース、19日はオープンクラスを加えたオフショア・大阪湾横断レースが1レースと、予定された全4レースが完了した。インショア・レースは、風上/風下5Legのコース、各レグ長が第1レースは0.8mile、第2レースは1.0mile、第3レースは1.2mile、オフショア・レースは大三角17.8mile。成績表でも明らかなように、各艇の力は極めて伯仲し、最後まで手が抜けない戦いが続いた。
 ほとんどのマークで接近戦となり、特に「風上マークの通過」においては、多数の艇がオーバーラップ/交差する場面が発生した。また風またはコース取りの影響からか、ポート・タックでのアプローチが比較的多く、3艇身ゾーン内において、ポート・タック艇がスター2_2 ボード・タック艇の風下前方でタックし、“きわどいけれども有利な位置”につこうとするセーリングが多く見受けられた。
RRS
規則18.3「マークに近づく場合のタッキング(ゾーン内でのタッキング)」が適用されるシーンである。幸い?なことに、選りすぐりの参加艇の巧みな操船技術もあり、インシデント(ケース)の発生はなかった。
 しかし気懸りだったのは、ハラハラ? ドキドキ?のシーンが少なくなかったことである(神経質すぎるかもしれないが)。従前より比較的穏やかなミドルボートのレガッタであるにも拘らず、この時ばかりは艇間で声?が飛び交っていたのも事実である。
 また、風上マークに接近するポート・タック艇と風上マークを回航直後のスターボード・タック艇が交差し、スターボード・タック艇が接触を回避したケースで抗議があり、「ポート・タック艇が規則10違反により失格」となった。これもポート・タックでのアプローチが原因なのかも知れない。もう1件の抗議は、風下マークでの3艇と2艇の接触(要はグチャグチャ)、違反艇が2回転ペナルティー。

さて、先般の全日本ミドルボート選手権のレポートにも記載したが、RRSではマークの通過に12関しC節「マークおよび障害物において」の条項を設けている。特にその中の規則18.3は『混雑する風上マークにおいて発生する厄介で危険な交通渋滞を最小限にとどめようとする意図がある』と言っても過言ではない。
Dave Perry
の名著「Understanding the Racing Rules of Sailing 」には、Bad Approach Zone, Good Approach Zoneという表現があり、『規則18.3は、ポート・タック艇が、混雑しているポート回りの風上マークにアプローチする場合、ポート・タックのレイラインからおおよそ4艇身風下でアプローチし、明らかにゾーンの外側でタックを完了することを、期待、推奨しているものである』との記述がある。

くどくて恐縮ではあるが、あえて風上マーク通過の「おさらい」として、アニメ化した資料(PowerPoint)を作成したので参考にしていただきたい。


Tacking When Approaching a Mark (PowerPoint 24pages)Download_logo:「good_appoach.ppt」をダウンロード 
Tacking When Approaching a Mark (PDF)Download_logo_2:「good_appoach.pdf」をダウンロード
2011-10-20 PowerPointを修正しています。


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規則
18.3 マークに近づく場合のタッキング
反対のタックの2艇がマークに近づいており、他の1艇はマークをフェッチィングしており、もう一方の艇がタックを変更し、結果的にゾーン内で規則13に従わなければならない場合には、それ以降規則182
は適用しない。タックを終了した艇は、
(a) 
相手艇に自艇を回避するためクロースホールドより風上を帆走させたり、または相手艇がマークを通過するのを妨げたりしてはならない。
(b) 
相手艇が自艇の内側にオーバーラップした場合には、マークルームを与えなければならない。

《規則18.3(a)の解説》
ポート・タック艇がゾーン内でタックを完了した場合、あらかじめマークにねらいを定めてきたスターボード・タック艇が追いついて、自艇との接触を避けるために、「クロースホールドより風上を帆走せざるを得ない」または「ベア・ウエイしてマークを通過できなくなる」ならば、(タックした)自艇は規則18.3(a)に違反している。
相手艇が、クロースホールドまでラフしたのであれば、規則18.3(a)に違反はしていない。
.
《規則18.3(b)の解説》
タックした艇は、相手艇を避けるだけでなく(規則11)、相手艇がマークを回航または通過するためのマークルームを与えなければならない。
要は、内側にオーバーラップをした艇は、タックした艇にルームを与えることも避けることも、必要ない。
しかも、相手艇に対し航路権を得る場合は、規則15(航路権の取得)および規則16(コース変更)に支配されない。
なぜならば、規則18.5は、マークルームを得る資格がある艇が、“強制されなかったかも知れない”規則違反に対しても、免罪を与えている。それゆえ、規則64.1(c)は適用できないが、規則18.5が(適用し)免罪を与える。
《スターボード・タック艇の制限》
スターボード・タック艇に対する唯一の制限は、スターボード艇がクリア・アスターンから風下にオーバーラップしたら、規則17が適用されており、自艇のプロパー・コースより風上に帆走することが許されないということである。したがって風下にオーバーラップした艇はプロパー・コースをとり、風上マークを小さく回航しなければならない。
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関連記事:
2011-08-16「規則18.3マークに近づく場合のタッキング」http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/183-c339.html
2011-08-10「全日本ミドルボート選手権32011 レポート・成績表」
http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/2011-ac1c.html
2010-05-19「実践ルール講座シリーズ④-規則18.3, 18.4, 18.5」http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/--183-184-185-7.html
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