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2012年7月15日 (日)

* 国会事故調報告/原子力再考の礎にすべきだ<河北新報ほか>

国会事故調報告/原子力再考の礎にすべきだ
河北新報 20120707日土曜日

 「およそ原子力を扱う者に許されない無知と慢心」

 福島第1原発事故という空前の原子力災害について、国会の福島原発事故調査委員会は明確に「人災」だったと結論付けた。

 「意図的な先送り、不作為、あるいは自己の組織に都合のよい判断」によって、実質的には何の安全対策も取られなかった。そして昨年311日を迎え、炉心溶融(メルトダウン)を起こして膨大な量の放射性物質をまき散らした。

 その責任は、東京電力や安全規制担当の国の組織などが負わなければならない。「想定外の津波」というのは、たわ言にすぎなくなった。人災と見なされた以上、国会は法的な責任の追及も視野に入れて議論を進めるべきだ。

 国会事故調は、これまでにない厳しいまなざしで報告書をまとめた。専門家らを集めて作成した公文書であり、事故調査の「決定版」的な役割を果たすことになるだろう。

 国内の原子力をこれからどうすべきか、その問いに答えるためにも参考になるはずだ。

 報告書を読むと、暗たんたる思いにとらわれる。住民の安全をないがしろにしてきた日本の原子力推進の姿が、よく分かるからだ。

 東京電力をはじめとする電力業界と国は、共に原発の安全規制を骨抜きにし、何らはばかるところがなかった。そうしておいて国民向けには「安全だ、安全だ」と神話を振りまいた。

 官民共同で、驚くべき背信行為が続けられてきたわけだ。

 原発事故の直接のきっかけは巨大津波だったと思われるが、報告書はその常識的見解にも疑問を示した。

 その1例が冷却材喪失事故。配管に亀裂が生じ原子炉を冷やす水が漏れる事故で、いずれ空だきになって炉心溶融につながる。報告書は、福島第1原発1号機で起きていた可能性が高いことを指摘した。

 冷却材喪失事故は重大な意味を持つ。起きていたとすれば、津波以前に地震の震動によって相当のダメージを受けていたことになる。全国のほかの原発も含め、原子炉の健全性が根本的に問われる。

 確認するためには、原子炉周辺を実際に詳しく調べる必要があるが、放射能の影響によっていつできるか分からない。

 ただ、報告書で幾つかの根拠とともに重大事故の可能性を指摘された以上、耐震基準を考え直し、個々の原発について再検証すべきだ。そうした安全確保の取り組みを積み重ね、ケースによっては廃炉も決断しなくてはならない。

 それが原発事故の教訓をくみ取ることであり、これまでのずさんな安全規制を反省することでもある。

 何十年もの間、原発を推進する主体はずさん、無責任であり、その帰結として事故が起きた。これから問われるのは、どこまでそうした体質を変えられるかだ。報告書を病根を断つための診断書として活用すべきだ。

Kahoku_shinpoWebsite:http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2012/07/20120707s01.htm
Copy:「www.kahoku.co.jp_shasetsu_20120707.pdf」をダウンロード 「www_kahoku_co_jp_shasetsu_20120707.jpg」をダウンロード

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国会事故調 報告を原発再考の礎に
北海道新聞 201277日 社説

 「起こるべくして起きた」と考えざるを得ない。

 国会の東京電力福島第1原発事故調査委員会は、事故を「人災」だとする報告書をまとめた。

 東電、政府の規制当局、当時の菅直人首相をトップとする首相官邸の責任を厳しく指摘した。これまでの原子力政策をめぐる構造的問題が明らかになった。

 課題を放置するわけにはいかない。国会や政府は報告書を尊重し、「脱原発」に向けた原子力政策見直しの議論を深めるべきだ。

 国会事故調は政府や民間の事故調と違い、国会に国政調査権発動を要請できる強い権限がある。関係者の責任追及には積極姿勢で臨んだ。

 強く問題視したのは東電のあり方である。大きな地震や津波への対策が求められ、改善のチャンスがあったにもかかわらず怠っていた。

 東電が官邸に「全面撤退」を伝えたかの問題は官邸の誤解と結論づけたが、その責任もあいまいな伝え方をした東電側にあるとした。

 報告書は「原発を扱う事業者としての資格があるのか」と問うている。東電はどう答えるのか。

 経済産業省の原子力安全・保安院など政府の規制当局には組織的問題があった。東電より専門性で劣ったため規制する側とされる側が逆転し「東電の虜(とりこ)になっていた」という。今後の規制政策の教訓とすべきだ。

 菅前首相が事故現場に直接電話を入れたなどの対応は「過剰介入」と断じた。指揮命令系統を混乱させた結果、住民の避難の遅れにつながった。前首相や当時の閣僚は政治責任を強く認識してもらいたい。

 「ほぼ50年にわたる一党支配」も事故原因とした。自民党は長年推進した原子力政策を反省すべきだ。

 未解明の問題は残っている。東電は地震による重要機器の損傷はなかったとしているが、事故調はあった可能性を指摘した。時間的制約もあり調査は十分とは言い切れない。事故の賠償や除染など、最初から調査の対象外だったテーマも多い。

 議論をしっかり受け継ぐことが大事である。それは国会の役目だ。

 事故調は国会に原子力問題の常設委員会と民間による独立調査機関を設置するよう求めた。実現に全力を挙げてほしい。提言を与野党間の政争の具にして改革が行き詰まることは許されない。

 報告書は国民の安全より自らの利益を優先する「原子力ムラ」の姿を浮き彫りにした。そこにメスを入れないまま関西電力大飯原発を再稼働させた政府の対応は疑問だ。

 野田佳彦首相をはじめ政府は、事故調が指摘した問題点を原発政策に今すぐ生かさなければならない。

HokkaidonpWebsite:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/385711.html
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国会事故調の報告 「人災」重く受け止めよ
中国新聞 '12/7/7 社説

 福島第1原発の事故は明らかに人災だった。政府と東京電力はこの指摘を重く受け止めなければなるまい。

 東日本大震災による原発事故の原因を究明するため、国会に設けられた事故調査委員会の報告書が下した結論である。

 なぜ人災なのか。東電が先に公表した社内の調査委員会による報告をはじめ巨大津波が原因とする言説が大勢だが、国会事故調の見立てはこうだ。

 3.11より前に、津波による全電源喪失に至る危険性があると、原子力安全・保安院と東電は認識を共有していた。

 対応を先延ばしにし明確な指示もしなかったのは、経済産業省内の規制当局が、行政と密接な関係にある事業者の「虜(とりこ)」になっていたからだ。

 防護の国際基準や米国での核テロ対策などに照らしても、必要な措置を講じていなかったため事故を防げなかった

 歴史上の巨大地震による津波の検証や電力業界と行政、一部専門家のもたれ合いが事故後、明るみに出た。こうした事実に裏付けられた見方といえる。

 国会事故調は直接の事故原因でも、地震による損傷を「確認できない」などとする政府、東電の事故調に疑問を呈した。

 焦点になったのが1号機に備えた非常用復水器。一部系統の電源喪失は津波の到来前に震動で生じた可能性があるとし、復水器の操作マニュアルも事前の訓練も不十分だったとする。

 地震の影響をどうみるかは意見が分かれており、さらに詳細な検証が必要だろう。それでも事故原因を津波に限定して講じる安全策は万全といえまい。

 事故の被害を広げた責任は今回の報告も言うとおり、菅直人前首相と東電首脳にある。

 政府は緊急事態宣言を出すのが遅れたうえ、避難や汚染への対応で「念のため」「直ちに影響は生じない」と曖昧な説明を重ねて住民を不安にさせた。

 原子炉のベント(排気)や海水注入という重大な決断を迫られた時に会長、社長が不在だった東電は事故処理に懸命の現場を置き去りにした格好だ。

 一方、報告は緊急時に放射能の影響を予測するシステムの利用で新たな見解を示した。

 事故直後、原発から北西部を中心に放射能が拡散するデータをつかんでいながら公表しなかった政府への批判が強かった。

 実際には電源喪失で放出データが得られず仮定の数値による試算だったため、報告は「初動の避難指示に活用することは困難だった」とする。厳密さを期した判断かもしれない。

 総じて報告からは、規制当局や東電の自己弁護を排除しつつ公正さを確保しようという国会事故調の姿勢がうかがえる。「事故は終わっていない」との思いが前提になっている。

 だからこそ調査を踏まえた提言も尊重したい。まず欠かせないのが未解明の部分をはじめ被害の拡大防止や廃炉の道筋についても調べることだ。

 規制当局を監視するため原子力問題の委員会を国会に設ける案には、政治の介入を懸念する向きもあろう。ただ、これだけ重みを増した問題を絶えず論議する場は情報隠しを防ぐためにも必要ではないか。

 真相を徹底究明し、被災者支援と脱原発依存を確実にすることが報告書を生かす道である。

ChugokunpWebsite:http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh201207070106.html
Copy:「www.chugoku-np.co.jp_Syasetu_20120707.pdf」をダウンロード 「www_chugoku-np_co_jp_Syasetu_20120707.jpg」をダウンロード

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国会事故調報告 国民が抱く素直な思いだ
西日本新聞 20127611:09 社説 

 「大惨事は防ぎ得た。それができなかった根本には、長きにわたる政官業の癒着がある。経済成長に伴う自信はやがて慢心、おごりに変わった。原子力関係者も例外ではない。無知と慢心があった」

 「東京電力福島第1原子力発電所の事故が人災であることは明らかである」

 「歴代及び事故当時の政府、規制当局、事業者である東電の、人々の命と社会を守るという責任感の欠如があった」

 国会が設けた事故調査委員会(黒川清委員長)がまとめた報告書は政府、規制当局、事業者を一刀両断にしている。

 本当に福島第1原発事故は防げなかったのか。報告書ではここにこだわり、事故発生前の検証に力を入れている。

 直接的な事故原因を探り、教訓を得ることも重要だが、形骸化してしまった「安全文化」に再び生命を吹き込むためには、より根源的な問題にメスを入れる必要があると、国会事故調は考えた。

 例えば、東日本大震災で同原発を襲った大津波は果たして想定外だったのか。

 過去にも大津波があったとの指摘があったことは東電も認める。だが、具体的なデータに乏しく、専門家の共通認識とはいえなかった-。だから、当時予測はできなかったなどと東電は言う。

 だが、電力会社にとって都合の良い資料を出すように専門家に働きかけたのではないか-。報告書はそう追及する。

 例えば、津波の高さを評価する土木学会の手法の研究費などを電力会社が負担しており、当時の委員・幹事などの半数以上を電力業界が占めていたという。

 事業者が都合の良い基準を示し、規制当局は黙認した。一例だが、事ほどさようにと、政官業に加え、学も巻き込むもたれあいを報告書は浮き彫りにする。

 福島第1原発事故の調査報告は幾つかある。東電のものが一つであり、民間の立場からの福島原発事故独立検証委員会調査・検証報告書というのもあった。

 政府が昨年6月に設置した事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東京大名誉教授)は同12月の中間報告に続き、最終報告書が間もなくまとまる。

 国会事故調は政府から半年遅れの昨年12月に活動を開始した。有識者による公正中立な立場からの検証は国会、政府の調査委に共通だが、当然違いもある。

 国会事故調は「国民による事故調査」を掲げ、公開を基本原則にした。菅直人前首相など多数の当事者を参考人として招き、公開の場で質疑を交わした。

 さらに、国会が設置した第三者による調査機関として、国政調査権に基づく資料請求権や証人喚問の要求もできた。しかし、こうした方法は採られなかった。

 強い権限を使い、もっと厳しい調査をすべきだったとの声もあった。だが、国会事故調も言うように調査は終わりではない。形を変えても続ける必要がある。

 国会事故調は国会による規制当局の監視を求めた。国民の安全を守る責任を国会も果たせと注文を付けられたのだ。

2012/07/06 西日本新聞朝刊

Nishinippon_shimbunWebsite:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/311391
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当シリーズは終わり!

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