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2012年12月 5日 (水)

Tunaさんを偲んで

4_http__www_stormtrysail_org_pages_Arthur Jacques 'Tuna' Wullschleger氏が逝去された。心からご冥福を祈ります。

Tunaさんにお会いしたのは2000924日から29日まで米国ロードアイランド州ニューポート(Newport, RI USA)で開催されたJ/24 Class World Championship 2000である。
編集者は翌
年西宮市で開催予定であったJ/24 World 2001を控え、レースオフィサーを務めるK.T氏、実行委員会のT.I氏に同行し視察部隊として参加した。また併せて国際レースのジャッジ見習いとして大会JURYメンバーを務めた。そのチーフジャッジをされたのがArthur J. 'Tuna' Wullschleger氏である。

帰国後実行委員会宛てに提出した「視察報告書」を読み返してみるとその最後のページに、
最後に、Chief Judge, Tuna Arthur Wullschleger氏の気品と貫禄にはただただ感嘆するばかり。指導を受けただけで至福の極み。今後の切磋琢磨への大きな励みとなった。』とある。
12年前に受けたこの思いは今も変わらない。

その後も編集者は国内外を問わず数々のレガッタに参加し、多くのジャッジ、レースオフィサーに会う機会があり貴重な教えを得ることができたが、真に心服できる(できた)方と云えばそれほど多い訳ではない。その数少ない一人がTunaさんである。

Tuna_picture_3光陰矢のごとし、お会いしてすでに12年の歳月が過ぎてしまった。その後も米国には幾度か訪問する機会があり、いつの日にか再会できると願っていた。たまたまつい11月の初めにTunaさんが住まいするフロリダ州のレガッタに参加した時ふっと「Tunaさんもこの近くに住まわれていたな、お会いしてご挨拶だけでもしたいな」との思いが飛来したのは事実であるがそれもままならなかった、まさに虫の知らせであろう。満足なお礼も言えず永遠のお別れとなったのが心残りでならない。

ここではTunaさんの23のエピソードを披露して思い出に浸ってみたい。

ISAF, Obituary:「1_http_www.sailing.org_news_33628.pdf」をダウンロード

Sail-World, Tuna dies at the age of 94:「2_http_www.sail-world.com_Asia_Tuna-dies-at-the-age-of-94.pdf」をダウンロード
The Palm Beach Post, Arthur Jacques 'Tuna' Wullschleger Obituary:「3_http_www.legacy.com_obituaries_palmbeachpost_obituary.pdf」をダウンロード
Storm Trysail Club, 2012 Arthur Wullschleger Obituary:「4_http_www.stormtrysail.org_Pages_01 Breaking News.pdf」をダウンロード


Img_00341. 親分Tunaファミリー
J/24 World 2000JURYメンバーは 8名で構成されたが、メンバーのだれもがおっしゃるのは、Tunaさんそして奥方であるDiana "Stork" さんはいわゆる“親分肌”を地で行く方で、公私にわたり非常に“面倒見の良い”方であるということである。その一例がレガッタの初日には必ずTunaさん主催(俗に言うおごりで)の食事会が催され、それを楽しみにジャッジに加わるメンバーも多いとの由。

J/24 World JURYメンバーの中にも“Tunaファミリーと云っていいジャッジがおられ、その中の一人であった Alex J. McAuley (CAN, IJ) さんには、2002年カナダ・ロイヤルハミルトン・ヨットクラブで開催されたEurope Class World Championshipではホームステイ先等色々とお世話になったし、Mary Savage(USA, IJ) さんはUS Sailingのルール委員をされており、今でもルールに関しての疑問に(幼稚な質問にも拘わらず)いつも懇切丁寧な回答をいただいている。
(写真左から:編集者,Graeme Hayward(CAN), Gilmour Manuel(GBR), Alex, Tuna)
 

また翌年2001年日本でのJ/24 World にこられたDick KempeBER, IJ(故人))さんもTunaファミリーの一員であることを本人から聞いた。Kempe夫妻には2004Optimist Bermuda Img_0035_4National Champs でバーミューダ(ロイヤル・バーミューダ・ヨットクラブ)を訪問した際にはランチをご馳走になったり自宅に招待していただいたりした。

ほんの一度JURYで一緒しただけの一介の東洋人にこれほどの親切をしていただいたのも、Tunaさんをドンとするファミリーに流れる面倒見の良さではないかと思っている。

Arthur Wullschleger Wins US Sailing’s Harman Hawkins Award:「5_http_www.larchmontyc.org_Wullschleger2010.pdf」をダウンロード
US Sailing, 2010 Harman Hawkins Trophy Arthur J."Tuna" Wullschleger:「6_http_raceadmin.ussailing.org_HHTrophy_2010_Trophy_Winnner.pdf」をダウンロード


2. Black Pearl
さてTunaさん主催(俗に言うおごり)の食事会はJ/24 World 2000においても例外なく開催された。
Http__www_blackpearlnewport_com_h_3923日の開会式前日に招待を受け、すでに到着していたJURYメンバー6名に奥方(私の妻も含め)3名を加えた総勢9名で食事に出掛けたのがRestaurant Black Pearl である。<所在地はBannister's Wharf Newport, RI 02840 Tel 401.846.5264
このレストランはTunaさんが1970年代、1980年代にニューヨークヨットクラブ・アメリカスカップ・シンジケート(1980年のTed Turnerのキャンペーン、1987年のAmerica IIのシンジケート)を組織していた時代に頻繁に訪れていたそうである。

Tunaさんの初めの一言は「Newportでロブター(Lobster)を食べなければ来た意味がない」。メニューを覗き見するとMarket priceとある、さぞかし高価と一瞬逡巡したが、鶴の一声で全員ロブターを注文。前菜はこれまたニューポート名物のムール貝とクラムチャウダーだったと記憶している。入口はこじんまりした一見バーのようであったが、メインダイニングであるCommodore’s Room 1967年開店、ニューイングランドの伝統を継承し、ニューボートらしい潮の香溢れるエレガントな一室であった。因みに現時点のメニューリストにはこうある、
 
New England Lobster - Market price
 Mussels Black Pearl - 18.00$
 
New England Clam Chowder - 9.5$
 

Black_pearl_menu大雑把に計算してみても一人当たり100$ 総計900$の大枚の出費だったろう。テキスタイル会社の社長で裕福であるに違いないが、心から「ご馳走になりました」と改めてお礼を申し上げたい。初対面の人達との食事のためか味の記憶はないが、そのようなことよりアメリカのヨットの聖地と呼ばれるニューポートを代表する著名レストランで、アメリカスカップを支えてこられた方々と一緒に食事ができたことは誇らしい思い出である。

読者の皆さんでニューポートを訪れる機会があれば、ぜひともBlack Pearlでの食事を楽しんでいただければと思う。予約がとれない場合にはマネージャーに『Tunaさんを偲んでLobster を食べたい』と申し出れば、きっと良い席を準備してくれるに違いない。

Black Pearl: Main:
「www.blackpearlnewport.com Main.pdf」をダウンロード History:「www.blackpearlnewport History.pdf」をダウンロード   Commodore's Room  「www.blackpearlnewport.com_Commodore.pdf」をダウンロード The Tavern 「www.blackpearlnewport.com_Tavern.pdf」をダウンロード Waterside Patio&Bar: 「www.blackpearlnewport Patio.pdf」をダウンロード  Directions 「www.blackpearlnewport.com_Directions.pdf」をダウンロード Store 「www.blackpearlnewport.com_Store.pdf」をダウンロード


Fund_jpeg_33. Tuna Fund
その後2009年になってUSMRC(US Match Racing Championship)のニュースレターにTunaさんの寄付によって設立されたTuna Fundの記事を偶然見つけた。

正式名 The Arthur “Tuna” Wullschleger Umpire Fund、略称 “Tuna Fund(ツナ基金)は、 US SAILINGのアンパイアの成長を願ってTunaさんの私財を基にUS SAILING財団の基金として設立された。基金の目的とするところは「USおよび世界中のマッチレースとチームレースをサポートし、質の高いアンパイアリングを助成すること」である。
設立: 2009
目的:
- アンパイアの旅費が支払えない主催団体を支援する
- マッチおよびチームレースのアンパイアの訓練を受けたいが参加費用がない若いアンパイアを招待する
- インストラクターのための旅費、宿泊費等の費用補填システムを設立する
- US Sailingアンパイア委員会によってインターナショナルジャッジの力量ありとみなしたアンパイアの海外渡航旅費を支援する
- US Sailingにおけるジャッジおよびレースマネージメントの訓練のための類似基金の発展のためのモデルを提供する

Tunaさんの“人となり”を象徴する基金である。
このFund
で想いだすのはあのチャップリンの有名な言葉である。All it needs is courage,imagination, and a little dough.「人生に必要なのは、勇気と希望と少しのお金」。Tunaさんは人生に必要なもの全てを持ち合わせ、その全てをセーリングに捧げたに違いない。

USMRC News Letter, Tuna Fund:「fund_tuna_volume_2_issue_1_4page.pdf」をダウンロード
US Sailing, Tuna Fund:「fund_http_raceadmin.ussailing.org_Page3555.pdf」をダウンロード

最後にTunaさんを悼む記事の中の一文を紹介して終わりとしたい。
There are few people in the World who have contributed more to the sport. The sailing community has lost a legend.
 <これほどスポーツに貢献した人は世界にもそれほどいない。セーリング社会は伝説の人を失った。>
黙祷


関連記事:2012-11-29「Farewell Tuna」 http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/farewell-tuna.html

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