海自艦おおすみ、衝突直前に危険認識か ほぼ一定速度で直進
海自艦、衝突直前に危険認識か ほぼ一定速度で直進
朝日新聞DIGITAL 2014年1月18日10時01分
広島県大竹市の阿多田(あたた)島沖で海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」と釣り船「とびうお」が衝突して2人が死亡した事故で、おおすみが衝突の直前まで時速32キロ前後のほぼ一定の速度で直進していたことがわかった。専門家は、おおすみが衝突の危険を直前まで認識していなかったことを示すものとみている。
おおすみが搭載していた船舶自動識別装置(AIS)の記録を分析した。世界の船舶のAIS記録を公開しているインターネットサイト「マリントラフィック」によると、おおすみは15日午前7時43分、宮島と能美島の間を南西向きに時速約21キロで通過し、開けた海域に出たところで時速32キロ前後に加速。そのままの速度でやや左に進路を転じ、午前7時55分から58分の間はほぼ真南に直進した。だが午前8時1分には時速約12キロに急減速し、その後は時速6キロ以下で右に旋回していた。
おおすみが第6管区海上保安本部へ無線で衝突を通報したのは午前8時1分。おおすみの航跡を見た東海大学の山田吉彦教授(海上安全保障)は「少なくとも通報の3分前まで、おおすみは衝突の危険を感じていなかっただろう」とみる。危険を感じて急減速し、衝突直後に旋回して救助態勢を取ったと考えられるという。
自衛艦の艦長経験のある海自OBによると、現場周辺の海域で天候がよく、船が多くなければ、減速前のスピードは通常の速度という。「衝突の危険を感じた場合には、減速が基本。高速道路で自分の車の前にほかの車を割り込ませるのと同じだ」。おおすみはスクリューを逆回転させて急減速した可能性が高いが、おおすみより小型の護衛艦でも停止までに数百メートルはかかるという。
とびうおの生存者2人は「おおすみが後ろから近づき衝突した」と証言する一方、事故を捜査する海上保安庁関係者は「とびうおが減速した」とみている。どの時点でおおすみが衝突の危険を認識したかが焦点になりそうだ。
海上幕僚監部広報室は「海自は事故の一方の当事者のため、捜査にかかわる内容についてのコメントは控える。海保の捜査に全面的に協力する」とコメントしている。(工藤隆治、其山史晃)
◇
〈船舶自動識別装置(AIS)〉 船の衝突を防ぐため、船同士が船名や位置、速度、針路などを無線で知らせあう装置。500トン以上の船舶は船舶安全法で搭載が義務づけられている。海上自衛隊の艦船は同法の対象外だが、多くが搭載している。
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関連記事:2014-01-16「自衛艦と衝突、小型船が転覆 2人意識不明 広島沖」http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/2-3112.html
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