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2014年7月26日 (土)

読者からの質問と回答 「戦術的マーク回航」

Swancup_2006 読者からの質問:
>先般30艇を超えるキールボート・レガッタに参加しました。
>10ノット前後の風が吹き、参加艇のレベルが高く、かつハンディ・キャップのバラツキが少ない大会であることもあって、各回航マークに艇が殺到する場面がしばしば発生しました。コースは風上/風下ソーセージコースです。
>特に下マークでは、多い時には半数近くの艇(10-15艇)
がオーバーラップしているような状態があり、水の要求の声が飛び交い、グジャグジャのままマークを回航することが続きました。(皆様見事な腕前でした)
>内側の艇に水をやらなければならないことは分かっている積りですが、その内側の艇が、“きちっと”回ってくれた場合は問題はなかったのですが、一部の内側艇が『異常とも思えるほど大回り』して、「内側、内側・・・・」と叫びながらマークを回る場面がありました。
>幸いにも外側に逃げて衝突はしませんでしたが、外側の艇からは「大回りするな・・・」等々叫ばれ、まさにサンドイッチ状態、散散でした。

>そこで質問ですが、内側艇は“なんでもあり”なのでしょうか? それともあまりに大回りしたら規則違反となるのでしょうか?
>
要は、規則ではどれくらい広がって回ることが許されるのでしょうか
?
>急ぎま
せんので、ご教授ください。 

編集者による回答:
いわゆる、戦術的マーク回航(Tactical Approach and Rounding of a markに関する質問です。
風下マーク(またはジャイブマーク)において内側艇の航路権艇が、幅広いカーブを描き、その後マークぎりぎりにかわす方法をことを云い、これを戦術的マーク回航、 "Swing wide-Cut close", "Round wide and Come up tight", "Wide in, Tight up", “wide-then-close”、と呼んでいる。
Markroundingsummary マーク回航で優位を得るための極めて有効な手段としてよく話題に挙げられます。
20091月に開設した
blogでも当初からこのテーマを取り上げ、その後も何度か関連記事(末尾)を掲載しました。

typhoon右上写真Rolex Swan Cup 2006を注視してください。 マークの直風下のポート・タック艇は"戦術的なマーク回航"を終わろうとしていることが航跡からも明らかである。また後続の赤のスピネーカー艇(と続く2艇)も、想像ではあるが、スターボード・タックでアプローチし、ジャイビングを完了した直後の状態で、内側をかつ戦術的に回航しよう
とする意欲は明らかである。左側にいるポート・タックの2艇はマークルームを与えるしかない!

今回は、ISAFのレーシングルール委員で、近年のRRS改定に関わり、「The Racing Rules of Sailing 2013-2016 Study Version - RRS学習ヴァージョン」http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/the-racing-rule.html の発行者であり、また特にマーク回航ルールに関して造詣が深く、多くの解説を発表されているUS SailingDick Rose氏が本年4に投稿された記事を最新情報として紹介しておきたい。
当時のISAF
レーシングルール委員でさえ間違った解釈をしたこの難題を、Dick Rose氏は明快に解説している。

先に結論を述べると、
もしあなたがマークルームの資格があり、かつ航路権を持つならば、自艇を戦術的接近と回航のための位置に置くことができる。もしあなたがマークルームの資格はあるが、航路権を持たないならば、シーマンらしい接近と回航のための余地の資格のみしかない
となる。

詳しくは下記解説を参照。

Mark_room_3_jpeg 〈ダイアグラム3
ダイアグラム3の場面において、Amos Annieは両艇ともポート・タックで、Amosが規則11〈風上と風下〉に基づき航路権を持っている。Annieは内側艇でマークルームの資格がある。すなわち、マークルームとは、マークへ帆走するため操船するルームおよびコースの帆走に必要なだけのマークを回航するためのルームの2つを達成するためのルームである。
Annieがマークへ帆走するためのルームは、マークを艇のポート側に見て、艇に近い位置で、ゾーンに侵入するほぼ真っすぐのラインを帆走するための余地を云う。Annieがコースの帆走に必要なだけのマークを回航するためのルームは、艇のダウンウインドのコースからクロースホールドのポート・タックのコースにラウンド・アップするまでの余地を云う。

定義ルームとは、Annieがシーマンらしいやり方でこれら2つを速やかに操船するために、その場の状況で必要としている余地を得る資格があることを意味している  すなわち、シーマンらしくする余地を得る資格はあるが、マークに戦術的に接近し回航する余地はない。その艇がこの余地の中を帆走する場合、もし規則11に違反したり、マークへの接触を強制された場合は、規則21〈免罪〉に基づき免罪されることになる。
そしてまた、Annieはシーマンらしいやり方で行なうという条件で、良いと思う速やかさでクロースホールドのポート・タックのコースにラウンド・アップすることができ、AmosAnnieのそうする権利を予見しなければならない。Amos Annieに資格があるマークルームを与えなければならない、Amosがそうできなかった場合、規則18.2(b)に違反している。

Mark_room_4_jpeg_2 〈ダイアグラム4
ダイアグラム4において、両艇ともスターボード・タックで、Aliceは、風下艇として規則11〈風上と風下〉に基づき航路権を持っている、また内側艇として規則18.2(b)に基づくマークルームの資格がある。
Alice は航路権を持つので、Annieが、ダイアグラム3の場面において持っている以上のより有利な選択権を持つ。Alice は、航路権を持っている間、Annieがダイアグラム3の場面において帆走が認められている以上に、マークから離れて帆走する航路権を使うことができる。
航路権を持つことは、Alice wide-then-close(広く-その後-近づく)戦術的接近と回航を提供する資格を与えている。
しかしながら、
Aliceがそうする場合は、もしコースを変更するなら規則16.1〈コース変更〉に、もしAliceTedとの間に規則17〈プロパー・コース〉が適用される場合はその規則に、またジャイビングする前にはTedがいない場合に帆走するであろう以上にマークから離れて帆走できない規則18.4〈ジャイブ〉に、従わなければならない。
また、もしAliceがマークへ戦術的接近をする選択をした場合、その艇は資格のあるマークルームの中を帆走していないことになる。それゆえに、Aliceはもし規則16.1に違反した場合、規則21〈免罪〉に基づく免罪はされないだろう。
Aliceがジャイブした場合、Tedが航路権艇となる、そこでAliceは戦術的回航をする権利を失い、適用される規則はダイアグラム3Annieに適用されたものと同じになる。しかしながら、Aliceがジャイブした後、もしマークルームとして資格のある余地の中を帆走する場合、規則21が提供する防御を享受できる。

182a_20092012_jpeg_4 規則18.2(b)の議論は、しばしば問われる次の質問への回答として与えられている。
いつマークへの戦術的接近と回航をすることができるのか? またいつシーマンらしい接近と回航をする制限がされるのか?” 回答は次のとおり:もしあなたがマークルームの資格があり、かつ航路権を持つならば、自艇を戦術的接近と回航のための位置に置くことができる。もしあなたがマークルームの資格はあるが、航路権を持たないならば、シーマンらしい接近と回航のための余地の資格のみしかない

併せて、編集者が作成した「実践ルール講座シリーズ」の規則18.2(a)も添付しておくので、参考にされたい。

関連記事:
2009-02-25ISAF Q&A 2009-022 : MARK-ROUNDING (戦術的マーク回航)」http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/isaf-qa-mark-ro.html
2009-02-23「結論: ARGUMENT about MARK-ROOM ROUNDING(結論:マークルーム回航についての議論)」http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/argument-about-.html
2009-01-26ARGUMENT about MARK-ROOM ROUNDING between USA and UK? (マークルーム回航についての議論)」http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/argument-about-.html

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