« 再:抗議書の有効性テスト | トップページ | JSAF内海ヨットマンの集い2014開催のご案内 »

2014年10月27日 (月)

読者からの質問と回答 「オフセット・マークとゲート」

Wloffsetevengate 読者からの質問;
>今秋開催されたあるキールボートの選手権において風上マークのポート側に「オフセット・マーク」が設置されていました。
>帆走指示書では、1上の後にそのオフセット・マークを回航、2上ではオフセット・マークの回航は不要のコース指示でした。
>それは問題ないのですが、マーク1とオフセット・マークとの距離が推定ですが2艇身(20-22m)位しかなく、オフセット・マーク回航後、下から上ってくる艇と交差しそうになったり、ジャイブができにくい場面もあった記憶があります。
>これではわざわざオフセット・マークを打った意味がないように感じました。
>本来これらマーク間はもう少し広い筈ですが、RRSとか運営ルールとかに設置基準のいったものはないのでしょうか?

>また序で申し訳ないですが、下マークにおける「ゲート・マーク」の設営についても基準的なものがあれば教えていただきたく。
>よろしくお願いいたします。(N.C)


編集者による回答;
1. ご質問にあるような2艇身であれば、狭すぎると言わざるを得ません。
後述のISAF Racemanagement Manual には40m程度とあるが、艇の長さに応じ7-8艇身がリーズナブルでしよう。


2
RRSには、「オフセット・マーク」に関しては、何の記述もありません。
一方、「ゲート・マーク」については規則18.4(ジャイビング),28.2(コースの帆走),32.2(コースの短縮),33(コースの変更)に登場し、付則L(帆走指示書ガイド)のコース・ダイアグラムにも記述がある。しかし、「設置基準」といったものではない。

3
.編集者の乏しい経験では、帆走コースにオフセット・マークが使われた時期はゲート・マークより早かったと記憶するが、オフセット・マークがRRSに登場しない理由としては、規則上従前のマークと違いがないため敢えて記述の要なしと想像する。
反面、ゲートは旧来のマーク回航とは規則上異なる扱いがあり、特記しなければならない用語である。
代表的な例として「
規則18.4 Gybing 」がある。右図のような場面となったり(Rule 18.3 does not apply at a gate mark)、通常の風下マークではジャイブしなければならない内側艇(黄色艇)がジャイブをせずに<またはジャイブを遅らせて>、外側艇(青色艇)を風下まで連れて行き、その後にジャイブし右側のマークを回航したりする、ことも可能である。要注意・要覚悟!
Rule_184_gate_jpeg_3
4. オフセット・マークの
設置基準らしき記述が唯一、ISAF発行「Race Management Manual」の中にあるので、ここで紹介する。ただし規則ではなく、あくまでもガイドである。

5.
要は、レースの安全と公正な帆走を図る目的でデザインされたこれらマークの意義を理解し、フリートの規模、艇速、海面状態を勘案しながら如何に設置するか、ヴェテラン・レースオフィサーの腕次第と云うことになるだろう。


Rmm1_2 ISAF Race Management Manual の解説
1図〉

オフセット・マーク 
このマークは、風下レグを始めて、スピネーカーをホイストしている艇と、風上レグを第1マークにアプローチしている艇を、引き離すために、種々のクラスで使用される。
設置されるマークの、第1マークからの角度と距離は、まさにクラスごとに特有である。大会準備の早い段階において、レース・オフィサーとクラス協会の間での多くの折衝項目の一つである。
主要な大会では、オフセット・マークは、内角80°, 距離0.02海里(40m)で設置されることになるだろう。

マーク
このマークは通常は第1マークよりも小さい。ダン・ブイ(Dan buoy: 標識浮標)がこのマークにはしばしば使用される。
もし、第1マークとオフセット・マークの両方が同じ大きさと形状ならば、片方のマークだけの移動によって、風下レグの素早い調整が可能となる。

Rmm2_2 〈第2図〉
ゲート 
ゲートは、比較的新しいマークの形態である。これは、風下レグの風下の端で特に有効である。 ゲートは、艇がコースのポート・サイドに上りたいとの望みと、風下マークに向かってスピネーカーでランニング中の艇を横切ることなく上れる機会とを、可能にする。艇をスターボードで風下マークを回航させることを奨励している。

ゲートの幅
競技規則では、各回航マークに3艇身サークルを要求している。さらに1艇身が、2つのマーク周りのサークル間のスペースとしてあてがわれる。このことは、7艇身のゲート・マーク間の距離が最低でも提供されことになる。しかしながら、経験上、多くのクラス特に新しいデザインのハイ・パフォーマンス艇にとって不適当な、非常に狭いゲートが設定されているのを見受ける。ここでは、9艇身から10艇身の間がより適当であると推奨する、強風においてはより広い幅が、そのためには広い海面が必要となる。

ゲートの傾き
技量のともなうレース・オフィサーは、艇がコースの両側を使用することを促進するため、スタート・ラインのようにゲートにバイアス(傾き)を付けることができる。

ゲートの設置
ゲートの設置は、スタート・ラインの設置によく似ている。通常、コミッティ・ボートに近いマークを最初に、スタート・ラインの約50m風上に、フィニッシュ・ラインとなる中間点に設置する。2番目のマークは、スタート・ラインを設置するときピン・エンドが流れると同じように、流し、その後マーク設置艇にアンカーだけを置いて所定の位置まで引っ張る。マークが所定の位置となった時、アンカーが落とす。
他の方法は、2艇のマーク設置艇が、それぞれのマークを、要求されるゲートの幅で、風上に向かって引っ張って動かす方法である。合図によって、両方の艇が同時にアンカーを落とす。

Rmm3_2 〈第3図〉
ゲートの長さ
ゲートは、通常風下マークに設置される。ビートにおいてコースのポート・サイドに動きたいと望むスキッパーに、ゲートのマークをスターボードに見て回航し、風下へ帆走しているフリートと交差するのを回避する、機会を与える。

ゲートの幅は、フリートの大きさ、艇のスピード、そして海面の状態による。各マークの周りの3艇身の間に1艇身が必要なので、ゲートの最小の幅は7艇身である。通常は、幅が9から10艇身の間でゲートを設置する。推奨する最大幅は10艇身である。

(注) ゲートマークは同じ形状のもの(大きさおよび色)が要求される。形状の違いが、左右どちらが有利かを判断するセーラーの眼を狂わす要因となってはならないからである。
ISAF Race Management Manual 抜粋pdf:「rmm02_20092012_ppt.pdf」をダウンロード


Img_1558_2 ゲート・マーク設置に関する補足(私見);

1. ワンデザイン・レースで、艇数が多い場合、ディンギ、キールボートを問わず採用されている。
レース委員会の負荷がカバーできる条件で、設置するに越したことはない。その場合、
ISAF Race Management Manualが参考になる。

2. 
複数クラスまたはハンディキャップ・レースの場合、無理をしてまで、採用しなくてもよい。
理由の一つに、複数レーティング
艇のレースで、艇身差があまりにも大きい場合、マーク間の距離に7艇身をとるとしても、どの艇を基準にするかが定かでない場合がある。
①   あまりにも狭すぎる場合
ゲートの設置が反ってインシデントを誘発する原因となるケースがある。

右上写真〈編集者撮影〉。2009年8月唐津で開催されたLaser Radial World Championshipでのゲート。
ワンデザインであるにも拘わらず “あまりにも狭すぎる例"、何度も確認したが4-5艇身しかなかった。この写真(2位3位の艇が回航中)の直後、後続艇が集中して殺到、混乱。


Isaf_qa_2006005_jpeg また右図にある、マーク回航を複雑にする、
ISAFQ&A 2006-005艇がゾーン内でオーバーラップしているにも関わらずマークルーム(規則18)が適用されない》のようなケースも発生する。
詳しい解説は、 http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/strange-case-04.html


②  あまりにも広すぎる場合

どちらを回航するかに因って有利/不利が大きくなり過ぎたり、全艇が同一コースを帆走し、同一マークを回航する観念から外れてしまいかねない。

3. ただし海外の規模の大きいレースの例を見ると、複数レーティング艇のレースでもゲートを設置するのがごく一般的になっている。その際、ゲート間の距離には“それ程こだわっていない”のも現実である。

ISAF Race Management Manual 抜粋pdf:「rmm02_20092012_ppt.pdf」をダウンロード
ISAF Q&A 2006-005: 「isaf_qa_2006005.pdf」をダウンロード


Onbreeze_org_wp_201502092015-01-18
追加:読者からの投稿
『ゲート・マーク設置方法の秘訣!』

江の島・葉山を中心に、全日本選手権等大きなレースでレース・オフィサーを務めている友人からゲート設置の“秘訣”を教えていただきました(下記)。
是非参考にしてください。
Thank you very much, Mr.M.Y.

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
Holding_anchorまだ、確立したわけではありませんが、下記の方法で、水深が深い場合でも、潮の強い場合でも、思いのほかうまくいきました。 
マークおよび装備:
ゲートに使用するマークは、同一形状(色、大きさ、重さ)のマーク、同一(長さ、太さ、重さ)のアンカー・ライン、同一形状(大きさ、重さ)のアンカー、アンカー・チェインを使用する場合も、同じく同一(長さ、太さ、重さ)のチェイン。
基本的な設置法: 
・ 風や潮の影響でマーク間の角度や距離が変化しないように、設置後のマークではなく、着底したアンカーの位置でマーク間の角度と距離を定める。 
・ 片方のマークのアンカーレッコ・ポイントをGPSでマークして、二つ目のマークのアンカーレッコ・ポイントを決める。
・ ほぼ同じ水深と考えて、アンカーが着底してから、伸ばすラインの長さを同じにして、アンカー・ラインの長さを同じにそろえる。
・ 二つ目のマークのアンカーレッコ・ポイントへのマークボートのアプローチは、やや距離を取って、先に目標ポイントへの角度を決め、徐々に距離をつめていけば目標地点でレッコできる。
・ どちらかのマークを残してもう片方を打ち直す場合に備えて、アンカーレッコする度に、すべての位置をGPSで記録しておく。
・ マークのアンカーはなるべく真っ直ぐに落ちるように、ダンフォースではなく「フォールディングアンカー」を、スイベル(捻り取り)をつけて使用する。 
 

https://www.youtube.com/watch?v=SwonjTH4EjU&x-yt-ts=1421782837&x-yt-cl=84359240&feature=player_detailpage
https://www.youtube.com/watch?x-yt-ts=1421782837&v=bJPS3UCNtkg&x-yt-cl=84359240&feature=player_detailpage
https://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&x-yt-ts=1421782837&v=qlJEHXp-7IQ&x-yt-cl=84359240
https://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&x-yt-ts=1421782837&v=67Kk_CeOpD4&x-yt-cl=84359240

|

« 再:抗議書の有効性テスト | トップページ | JSAF内海ヨットマンの集い2014開催のご案内 »

Learn the RRS 」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 再:抗議書の有効性テスト | トップページ | JSAF内海ヨットマンの集い2014開催のご案内 »