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2016年2月28日 (日)

読者からの質問と回答 「延期・エンジン・マークタッチ」

読者からの質問:
昨年中に開催されたレースにおいてちょっと疑問に思ったことが何点かありますので、まとめてお尋ねします。(レース・オフィサー,E.Y

Ap_2読者からの質問1. レースの延期
>帆走指示書には次の記載があります、
6. 陸上で発する信号 AP旗が音響二声と共に掲げられた時は「レースは延期された。予告信号はAP旗の降下後30分以後に発せられる」ことを意味する。この項はレース信号・AP旗を変更している。』
30分以後」にしますと極端な話ですが、2時間後でも30分以後になります。レース海域で参加艇の集まり具合をチェックしながらでいいと思うのですが、もう少し時間の制約を設けてもいいと思うのですが、いかがでしょうか。
例えば、6. 陸上で発する信号 AP旗が音響二声と共に掲げられた時は「レースは延期された。予告信号はAP旗の降下後30分以後
60分以内に発せられる」ことを意味する。この項はレース信号・AP旗を変更している。』としたらどうかとおもいます。

編集者による回答1.
何か勘違いされているようです。 スタートラインへ来るのが遅い艇を待ってやりたい一方で、次のレースを遅延なくスタートしたい、との気持ちは理解できますが。
 まず「30分以後」は、陸上での判断(主に風、時には潮)によるもので、「これから出艇すれば、30分以内に全艇がレースエリアには到着でき、その後滞りなくスタートできるであろう時間」を設定するものです。
 次に海上では、陸上の判断と海上の状況に大きな変化がないならば、選手には冷たい対応となるかもしれないが、30分経つたら次のレースをスタートさせますよ(言い換えるとスタートラインに遅れている艇は待ちませんよ)を意味します。限りなく30分に近い時間(40分とか50分)にスタートさせることに何ら瑕疵はありません。
 しかしながら、海上の状況が陸上での判断から変化した場合は、条件が整うまで待つこと、それが2時間であるかも知れない、または一旦陸に帰らせること、もあり得ることで、レースオフィサーが判断することです。
 「レースは延期された。予告信号はAP旗の降下後30分以後60分以内に発せられる」の表現は適切ではありません。なぜなら、海上の状況により60分を超えてもスタートしたい場合、この条項にしばられて予告信号が発せられないことになってしまいます。
 現在の帆走指示書が適切でしょう。

Day3_9erworlds_20100105_3342_2読者からの質問2. レース中のエンジン使用およびマークタッチ
>RRS 42.3g)の解釈としまして、自艇のクルーが落水した場合でもエンジンの使用後、その後レース続行OKということでしょうか。他艇のクルー救助の場合は当然ですが。「どのような推進方法」というのはエンジンも可という解釈でいいのですね。
>今回2件落水がありました。Y旗を掲揚していましたので、結構吹いていましたが大丈夫でした。落水者がその艇に救助に来るのを待っている間、マークブイにつかまっていましたが、その艇のマークタッチになりますか?RRS31には「艇はマークと接触してならない」とありますが、乗員の文字はありません。乗艇中はクルーも艇になるのですか?


編集者による回答2.
RRS 42.3g)では、自艇であれ他艇であれクルーが落水した場合、危険な状態であるという条件で、エンジンの使用も許されることになります。救助のあと、エンジンを切ってレースを続行すれば是ということです。なお、このケースにおいて、他艇を救助した場合はRRS 62.1(c)に基づき救済要求ができますが、自艇のクルーを救助した場合はできませんので、為念。

 「落水者がマークブイにつかまっているのはその艇のマークタッチになりますか?」ということですが、結論は「マークタッチにはなりません。」
RRS 31
では「艇はマークと接触してはならない」とありますが、RRSの序文にある用語には、『「艇」は、セールボートおよび乗艇している乗員を意味する。』とあります。よってこのケースの場合、落水者は乗艇していない状態のため「艇」には含まれず、マークと接触したり掴まってもRRS 31違反にはなりません。勿論乗艇している乗員がマークに触れた場合はマークタッチです。
尚、落水の場合、乗員はRRS 47.2の後段に従い元の艇に戻らなければなりません。
ただしRRS 付則B ウインドサーフィン競技規則ではRRS 47.2が削除されているため、ウインドサーファーには戻る義務はありません。乗艇している人員でありながら、セールボートとウインドサーフィンで戻る義務が異なる“整合性のないRRS規則”です。これについては後日議論する予定です。

参考までにWorld Sailing Q&A L 008 Q&A 2016.0025 を紹介しておきます。全く同じ解釈がされています。
World Sailing Racing Rules Question and Answer Service
L 008 Q&A 2016.002  Published: 5 January 2016
Situation

Conditions are windy with strong gusts and high waves. The boats are 17 feet catamarans. One boat capsizes close to the port gate-mark, and the crew is thrown out of the boat and touches the mark with his body. When the crew touches the mark, he is not in contact with the boat. The crew then swims to the boat, which has drifted between the gate-marks without touching either of them.

Question
Has the boat broken rule 31?

Answer
No. Rule 31 refers to a boat, which shall not touch a mark. Under Terminology in the Introduction to the RRS (which, under the definition of ‘rule’, is a rule), the word ‘boat’ means a sailboat and the crew on board. When a crew member not on board touches a mark, then the boat does not break rule 31.

L008 Q&A 2016.002 pdf:「worldsailingqa2016.002L008-[19888].pdf」をダウンロード
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Mark_touch_3《RRS2013-2016抜粋》
RRS42.3(g) 推進方法 
危険な状態にある人員または他の船舶を救助するためには、どのような推進方法を用いてもよい

RRS62.1(c) 救済 規則1.1に従って救助(自艇またはその乗員への救助を除き)を行ったこと。

RRS31
 マークとの接触 レース中、は次のいずれかのマークと接触してはならない。

RRS序文 用語 定義に記載された意味で用いられている用語は太字で、前文では斜体の太字で示してある。「競技規則」は『セーリング競技規則』の個々の規則を意味する。(Boat, Board)は、セールボートおよび乗艇している乗員を意味する。船舶」は、あらゆるボ-トまたは船を意味する。「レース委員会」は、レース委員会の機能を果たすすべての人物または委員会を含む。ある規則の「変更」は、その規則に対する追加、もしくはすべてまたは一部の削除を含む。「各国連盟」は、ISAF加盟の各国連盟を意味する。他の単語および用語は、海事用語または一般用語として通常理解される意味で用いられている。

RRS47.2 装備と乗員の制限 乗艇している人員は、病気または負傷の場合、または危険な状態にある人員または船舶を救助するため、または泳ぐためを除き、故意に艇を離れてはならない。ただし、偶発的に、または泳ぐために艇を離れた者は、レースを続ける前に艇に戻らなければならない。
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読者からの質問3.
「マークと接触することにより著しく有利になる」ということはあり得るのですか?


編集者による回答3.
よくあることです。例えば、マーク回航を多くの艇が同時に行なおうとしている場合、ある艇が強引に内側に割り込み、あえてマークと接触しながら最も内側の良い位置でマーク回航し、その後1回転をさっさと済ませ、次のレグに向う、ケースが代表的なものです。またスタート時に信号艇に掴まるのはもっての外ですが、あり得ることです(例:強潮時)。
このような場合には、
RRS 44.1(b)の後段で述べているように、1回転ペナルティーを履行したとしても「リタイアしなければなりません」。

* Our fellow Japanese sailors: "ask not what your JSAF can do for you -- ask what you can do for your JSAF". .

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