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2017年1月20日 (金)

読者からの質問と回答 「規則21:免罪の改定」

Diagram_a読者からの質問:
>規則21(免罪)は、旧RRSでは「第2章 C節:マークおよび障害物において」の条項でしたが、新RRS2017-2020では「D節:その他の規則」に移管されています。
>また文頭の「C節の規則に基づくルームまたはマークルーム」から、C節の規則が抹消され、単に「ルームまたはマークルーム」に変更されています。

単なる字句の整備、条項番号合わせではないように思われます、何か理由があるのでしょうか?

編集者による回答:
World Sailing レーシングルール委員のDick Rose氏<既報のRRS2017-2020 Study Versionの筆者>の下記解説を紹介します。
少し
難解ですが、リーズナブルな変更であることが理解できます。
また予ねてより懸案であった『両艇規則違反』のケースにも一定の解“が示されたのではないでしょうか。

Sailing World: New Year, New Rules
By DICK ROSE SEPTEMBER 27, 2016

新規則 21(免罪)
C節の規則に基づくルームまたはマークルームを得る資格のある艇が、そのルームまたはマークルームを帆走している場合、その艇にルームまたはマークルームを与える必要がある艇とのインシデントにおいて、次の場合、資格のある艇は免罪されなければならない。
(a) A節の規則または規則15もしくは規則16に違反した場合、または
(b) 規則31違反を強いられた場合。

ルームまたはマークルームを得る資格のある艇が、そのルームまたはマークルーム内を帆走している場合、ルームまたはマークルームを与える必要がある艇とのインシデントにおいて、次の場合、資格のある艇は免罪されなければならない。(a)A節の規則または規則15もしくは規則16に違反した場合、または、(b)規則31に違反せざるを得なくなった(違反を強いられた)場合。

改定された規則21は、ある艇が得る資格のあるルームまたはマークルーム内を帆走している場合、いつでも適用される。ルール・ブック2013-2016版においては、規則21は、艇がルームまたはマークルームを得る資格の規則がC節の規則である場合のみ適用された。2つの規則が、艇に他艇にマークルームを与えることを要求している: ともにC節内の規則18.2および規則18.34つの規則が、艇に他艇にルームを与えることを要求している:C節内の規則19.2(b)および規則20.2(c)、およびB節内の規則15および規則16.1。新しい規則は記憶するのに容易である、なぜなら、いかなる規則でも、艇にルームまたはマークルームを得る資格を与えた場合、その規則がルール・ブックのどの箇所にあるかに関わらず、規則の保護を享受できる。

改定された規則21がなぜより公正な規則であるかを知るために、見取図Aに示すよくある場面を考究してみてください、TomJerryがスピネーカーをセットし、ランで帆走中を示す場面である。Tomはクリア・アスターンからJerryに追いついた、それ故にJerryはプロパー・コースより風上を帆走することができる(規則17参照)。JerryTomに対し急激にラフしたので、Tomは速やかに応じ、接触を回避するためシーマンらしいやり方でできることをしたけれども、位置2において、TomのスピネーカーとJerryの風上側のシュラウドが接触した。損傷はなく、どちらの艇もペナルティーを履行しなかった。Tomは、Jerryの急激なラフがTomに避けているためのルームを与えなかったことにより規則16.1に違反した、ことを理由として申し立て、抗議した。

プロテスト委員会は、Tomが主張したとおり、Jerryが規則16.1に違反したと判決したしかしまた、Tom も避けていなかったことによって規則11に違反した、と判決を下した。旧規則に基づけば、Jerryの規則16.1違反が、Tomに規則11違反を強いた場合のみ、Tomは免罪されることができる(規則64.1(a)参照)Tomは規則11違反を強いられなかった、なぜならTomは、たとえそのような対応がブローティングする危険を冒したり、シーマンらしくなかったりしても、直ちにかつより激しいラフができたであろうからである。

旧規則に基づけば、Tomは規則11違反のため失格となったであろう、しかし改定された規則21に基づけば、Tomは免罪されるだろう、なぜならJerryのラフに対してシーマンらしいやり方で速やかに応じている間、Tom得る資格のあるルーム内を帆走していたからである。著者としては、改定された規則21はより公正である、なぜなら、この例は艇が規則15および規則16.1によって必要とされるルームを与えなかった場合に発生するような場面を扱っている、これは我々が、C節の規則に基づくルームまたはルームを与えなかったことを扱うのと同じ方法だからである。

認定された事実:<編集者記>

1. Tom and Jerry sailing on a run, spinnakers set. Tom overtook Jerry from clear astern within two lengths of Tom.
2. And while remaining on the same tack and overlapped, Jerry luffed Tom so rapidly that even though Tom responded promptly and did all she can in a seamanlike way to avoid contact, Tom’s spinnaker touched Jerry’s windward shroud.
3. There’s no damage, and neither boat takes a penalty.

結論と適用規則:

1. When Jerry, the right-of-way boat, changed course she did not give Tom room to keep clear. Jerry broke rule 16.1.
2. Tom to windward did not keep clear of Jerry to leeward. Tom broke rule 11. Nevertheless Tom is exonerated under rule 21(a) because she was sailing within the room to which she was entitled. 

判決:
Jerry is DSQ.

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参考記事: 旧RRS2013-2016を適用した例
2010-02-13「STRANGE CASE Num.01 - Both boats penalized」

Rrs17_jpeg_2Strange Case #01 - Both boats penalized (ISAF Q&A 2009-024)

プロパー・コースより風上にラフしている艇は、避けていなければならない義務がある風上艇にかかる圧力を軽くしてはいない。このような場面においては、両艇とも規則に違反し、それゆえペナルティーを課せられる可能性が高い(かつそれ程まれでもない)。

この状況は、艇(L)が他艇(W)の風下となり、規則17 が適用されるときに起こることに似ている。規則11L に航路権を与えているが、規則17L にプロパー・コースより風上を帆走しないよう求めている。L がプロパー・コースより風上を帆走している場合でも、Wはやはり避けている必要がある(すなわち、規則11 に従う)。ただし、Lは規則17 違反で失格とされる。Wが避けておらず、Lがプロパー・コースより風上を帆走する場合には、両艇とも失格とされる。(ISAF Q&A 2009-024, 2010年1月削除)

A boat luffing above its proper course does not relieve a windward boat of her obligation to keep clear. In all of these situations it is quite possible (and not so rare) that both boats break the rules and are therefore should be penalised.

The situation is similar to what happens when a boat (L) comes in to leeward of another (W) and rule 17 applies. Rule 11 gives L the right of way; but rule 17 requires L not to sail above her proper course. If L sails above her proper course, W still needs to keep clear (i.e. comply with rule 11); but L should be disqualified for breaking rule 17. If W fails to keep clear and L sails above her proper course, they will both be disqualified. (ISAF Q&A 2009-024, Jan 2010 deleted)
http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/strange-case-1.html

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