« A Summer Season's Greeting 2017 - Party Wave ! | トップページ | 万灯祭播磨灘ヨットレース2017大会のご案内 »

2017年8月31日 (木)

抗議における「写真の証拠」

Garmin62s_2_5Smartphone_2抗議における「写真の証拠」
あるレースにおいて、抗議審問の証拠として「写真」の提出がありました。

昨今のハイテク化の中、特にキールボートのレースでは安全対策の一環、またゲームの実況速報、として「GPS機能付きのスマートフォン」の搭載義務化が珍しくはありません市販のスマートフォンには、携帯電話、写真またヴィデオ機能が備えられていることにより、従前では考えられなかった、レース中に艇が写真を撮ったり動画を撮影することが容易になった(なってしまった)ことによる、必然の結果とも云えます。

RRS上では、帆走指示書等で制約しない限り、それら写真、動画等を抗議審問の証拠とすることは許され、またITの進展と共に媒体物も多様化(写真、ビデオ、音声録音、航跡GPS-Logger)しているのが実態です。編集者も、スタートOCS判定時の証左、マークとの接触、コースの帆走、マーク設定の位置等のケースでの審問時に経験をしてきました。

今回の抗議は、レース中起きたインシデントを 思わずスマホで撮影し、そのまま審問室に持ち込み、撮影された「写真」数葉を証拠として示されたものです。

その時見た写真をもとに場面を再現したのが下図 『あなたはどちらにみえますか』  です。

Click2
Rrsjpeg_2

結論から申し上げると「この1枚の写真だけではどちらとも言えません」。

この機会にビデオ・写真に関して参考となる資料を紹介しておきます。

1RRS2017-2020 Appendix M RRS付則M
  M7 Photographic Evidence 写真等の証拠
2. ISAF International Judges Manual ジャッジマニュアル20136月版
  K.14 Photographic Evidence 写真等の証拠

How_far_between_two_boats1. RRS2017-2020 Appendix M
  M7 Photographic Evidence
写真等の証拠
   
写真とビデオは時として役に立つ証拠を与えてくれるが、プロテスト委員会はこれらの限界を認識し、次の点に注意するとよい。
   
 写真等の証拠を提供する当事者は、写真等を見る準備をする責任がある。
   
 ビデオからの情報すべてを引き出すためにビデオを数回見ること。
   
 シングル・レンズ・カメラの遠近感は極めて乏しい。望遠レンズにいたっては遠近感はまったくない。
   カメラがオーバーラップした
2艇をコースに直角に捉えた場合、両艇間の距離を判断することは不可能である。
   
カメラがオーバーラップした艇を正面から捉えた場合、オーバーラップが十分にある場合を除き、オーバーラップしているかどうかを見ることは不可能である。
   
 次の質問をすること。
      
 カメラは艇との関係でどこにありましたか?
    ● カメラ台は動いていませんでしたか?動いていた場合には、どの方向に、どのくらいの速さで動いていましたか?
    ● 艇が決定的な場面に近づくにつれ、カメラの角度は変わっていませんでしたか? カメラを素早くパンすると、劇的に変化して見える。
    ● カメラの視野は、終始制限されずにいましたか?

Overlap_or_not_overlap_12. ISAF International Judges Manual
  
インターナショナル・ジャッジ・マニュアル 20136月版
  K 抗議審問
  K.14 写真等の証拠
   写真とビデオ録画は、審問での証拠として受け入れられることができ、時には役に立ちうる。ただし、いくつかの制限と問題があり、これらのことをプロテスト委員会は理解しておくことを勧める。

   ビデオまたは写真の証拠を用いる場合に、次の点がプロテスト委員会の助けになることがある。
  ● ビデオ録画をプロテスト委員会に対して見せることになる場合、必要な機器を準備し、それを操作するために利用できるオペレーター(望ましくは録画をした者)を確保するのは、証拠を提供する当事者である。
  ● ビデオの証拠を持って来る当事者は、審問の前にそれを見させておき、ビデオがプロテスト委員会の助けになると思われる理由を出させることを勧める。
  ● 当事者がそのケースを述べた後に、ビデオを見るのが通常望ましい。
  ● 最初は意見なしに、その後証拠を持って来た当事者の意見をつけて、その後他の当事者の意見をつけて、録画を見るのを許可する。質問は、正式のやり方で当事者およびプロテスト委員会メンバーから求めてよい。
  シングル・レンズ・カメラの遠近感はほとんどなく、望遠レンズにいたっては遠近感がまったくない。例えば、カメラがオーバーラップした2艇をコースに直角に捉えた場合、両艇間の距離を判断することは不可能である。逆に、カメラが正面または背後から捉えた場合、オーバーラップが十分にある場合を除き、オーバーラップがいつ始まったか、オーバーラップが存在しているかさえ見ることは不可能である。この限界をしっかりと覚えておく。

2017rbbs_170915_020642017rbbs_170915_01191  ● ビデオテープを最初に見るのは、その場面に慣れるために用いる。カメラは艇との関係でどこあったのか? カメラと艇との角度と距離はどうであったか? カメラ台は動いていたか? 動いていた場合、どの方向に、どのくらいの速さで動いていたのか? 艇が問題の点に近づいたときに、カメラの角度は変わっていたか?(カメラの視野を早く動かすことは、極端に変わって見えることに注意する。)カメラの視野は、終始制限されていなかったか? 制限されていた場合、証拠の価値をどのぐらい下げているか? 十分にその場面に慣れるためには、数回見る必要があることがある。必要な時間を取る。
  ● 典型的ケースを再生して、巻き戻すのに30秒とかからないので、ビデオで与えられるすべての情報を引き出すために必要とされる位数多くビデオを見る。また、他の当事者が、ビデオが何を示し、何を示さなかったと思われるかを指摘するための同等の機会を確実に持てるようにする。
  ● 審問が終わるまで、機器をその場において置く。問題を解決するためにビデオがどんな事実を立証しているかを見直すために、協議の間ビデオテープを利用できるようにしておくことを勧める。また、プロテスト委員会メンバーの1人が、他の者が気づかない何かに気づくことがある。
  ● ビデオテープに過度の期待をしない。ほんのたまにのみ、偶然のカメラ角度からケースの中心となる事実をはっきりと立証する。しかし、1つの論争の点を解決する以上のことは何もないとしても、そのことだけで正しい判決に達する助けとなる。

関連記事:2011-06-30『抗議における「ビデオの証拠」』http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-e563.html

2017-10-02 追加: US Sailing - Guidelines for Video Conference Protest or Redress Hearings, May 11, 2016:
ダウンロード - guidelines20for20video20conf.20hearings.pdf

|

« A Summer Season's Greeting 2017 - Party Wave ! | トップページ | 万灯祭播磨灘ヨットレース2017大会のご案内 »

Learn the RRS」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« A Summer Season's Greeting 2017 - Party Wave ! | トップページ | 万灯祭播磨灘ヨットレース2017大会のご案内 »