判例集#6 - RRS18.3
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抗議書:
1.大会名:12月ポイントレース 主催団体:KSYC 日付:12月20日 レース番号:#2
2.審問の種類 艇から艇への抗議
3.抗議艇 Charlie
4.被抗議艇 Lima
5.インシデント インシデントの時刻と場所:13:12頃、風上マーク手前
違反があったと申し立てる規則:規則11(カミシモ)
6.被抗議艇への通告 声をかけることにより、接触の直後、用いた言葉”プロテスト”
7.インシデントの説明
①上マークに向かってLima(XP33)はスターボードタック、Charlie(J/24)はポートタックで帆走していた。そのまま直進すると衝突する位置であった。
②Charlieは、Limaの前方下側でポートからスターボードへタックし(タックした場所がゾーン内かどうかは不明)、この時点で両艇はオーバーラップし、Charlieは風下になり、航路権艇となった。
③Charlieはこのまま直進しては上マークを回るにはかなり厳しい位置と思われたが、Charlieのスキッパーは無理をしながら回れると判断していた。(両艇間は2艇身は開いていなかったと思う)
④Charlieは上マークを回るため風上側にディップした。ただし、風軸は越えていない。
⑤Charlieは上マークを回れる位置でクロースホールドへ戻したが、Limaとかなり接近したためLimaは衝突を回避するために舵を少し右へ切った。そのためLimaの中央後部が風下へスライドし、Charlieと接触した。
⑥その後、Lima, Charlieともマークに接触することなく、上マークを回った。
⑦上マーク近くにいた運営艇が、このインシデントをビデオ撮影していたので、証拠として提出したい。
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認定した事実:
1.インシデント発生時の風速はほぼ4mであった。潮流、波浪とも穏やかで特記すべき状況はなかった。
2.Limaは、スターボードタックのクロースホールドで、風上マークに接近しており、マークをフェッチングできるコースをとっていた。
3.Charlieは、ポートタックのクロースホールドで、風上マークに接近していた。マークから自艇の2から3艇身の間で、すなわちゾーン内で、タックを変更し、スターボードタックとなり、直後にLimaの風下にオーバーラップした。
4.その時の両艇間の距離は1m未満であったため、Limaは接触を回避するため、舵を右に切りラフしたが、Limaの左舷ミジップとCharlieの右舷前方部が接触した。
5.両艇ともマークとの接触はなく、そのまま帆走を続けた。
結論と適用規則:
1.ゾーン内で、ポートタックからスターボードタックに風位を越えたCharlieは、ゾーンに入ったときからスターボードタックであったLimaに、接触を回避するためクロースホールドより風上に帆走させて、RRS18.3に違反した。
2.両艇間の接触は軽微であった。Limaは接触の回避が常識的に可能ではなかったのでRRS14に違反していない。CharlieはRRS14に違反したが、航路権艇であり、接触によって損傷または傷害が起きなかったため、免罪される。
判決:
12月ポイントレースにおいて、艇Charlieを失格とする
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RRS2017-2020
RRS18.3 ゾーン内でタックする場合
ポートに見て通過するマークのゾーン内で、艇がポートタックからスターボードタックに風位を越え、それによりマークをフェッチングする場合には、その艇は、
・ ゾーンに入った時からスターボードタックであった艇に、接触を回避するためクロースホールドより風上を帆走させてはならない。
・ ゾーンに入った時からスターボードタックであった艇が、自艇の内側にオーバーラップした場合には、マークルームを与えなければならない。
RRS14 接触の回避
艇は、常識的に可能な場合には、他艇との接触を回避しなければならない。ただし、航路権艇、またはルームもしくはマークルームを得る資格がある艇は、
(a) 相手艇が避けていないか、またはルームもしくはマークルームを与えないことが明らかになるまで、接触を回避する行動をとる必要はない。
(b) この規則に違反したとしても、接触によって損傷または傷害が起きなかった場合には、免罪されなければならない。
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動画リンク
https://youtu.be/lZF7mjBIMZ0
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関連記事:
2013-02-24「規則18.3 ゾーン内でのタッキング - Tacking in the Zone」http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/--tacking-in-th.html
Tacking in the Zone (PowerPoint 31pages):ダウンロード - 20tacking20in20the20zone2028rrs201320162920ppt2031page.ppt
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