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2020年9月 5日 (土)

再:読者からの質問と回答 「同一修正時間のタイ」

Oaks_result読者からの質問: 初稿 2017-07-09
>お世話になります。
>出場するキールボート・レガッタの帆走指示書に下記の記載があります。
>SI 12.順位の決定
> IRCクラス:各艇の所要時間にTCCを乗じた修正時間により順位を決定する。修正時間は秒単位(四捨五入)とする。所要時間×TCC = 修正時間

>これについて下記2点ご教授願います。 
>・修正時間が同タイムになった場合、例えば3位の艇が2艇ある場合にポイントは2艇ともに3点とするのか、2艇ともに3.5点とするのか?
>・1レースのみの完了で、そのレースが同一修正時間になった場合、大会としての、すなわちシリーズとしてのタイの解消はどうするのでしょうか? (K.T)

編集者による回答:
(1) 初めに、関連する規則を列挙します。
RRS 定義:規則
Img_1497次のものを規則という。
(d) クラス規則(ハンディキャップ・システムまたはレーティング・ システムでレースを行う艇にとっては、そのシステムの規則が 「クラス規則」である。)

RRS 87:
レース公示または帆走指示書では、クラス規則にて変更が許されている場合、または、その変更に対するクラス協会の書面による許可が公式掲示板に掲示された場合にのみ、クラス規則を変更することができる。

RRS A7 レースでのタイ:
複数の艇がフィニッシュ・ラインにおいてタイとなった場合、またはハンディキャップ・システムもしくはレーティング・システムが用いられていて、複数の艇の修正時間が等しくなった場合には、複数の艇がタイとなった順位の得点とすぐ下の順位(複数もある)の得点を加え、艇数で割らなければならない。レースの賞でタイとなった艇には、その賞を分けるか、または同じ賞を与えなければならない。

RRS A8 シリーズでのタイ:
A8.1:  2艇以上の間でシリーズ得点でタイがある場合には、それぞれの艇のレース得点を、最もよいものから最も悪いものの順に並べて、最初に違いのある点で、最も良い得点の艇を上位としてタイを解かなければならない。除外した得点は用いてはならない。
Img_1498A8.2: それでも2艇以上の間でタイが残る場合には、最後のレースの得点で順位を付けなければならない。さらに残っているタイは、最後から1つ前のレースでの得点を用いて解かなければならず、すべてのタイが解けるまで同様に行う。その中に除外された得点があったとしても、それを用いなければならない。

IRC Rule 12.2
IRC レーティングは、修正時間係数(TCC)として小数点以下3桁まで算出されている。修正時間はTCCを艇の所要時間に掛けることにより計算され、四捨五入して秒単位で表す。

(2) 回答その1
> ・修正時間が同タイムになった場合、例えば3位の艇が2艇ある場合にポイントは2艇ともに3点とするのか、2艇ともに3.5点とするのか?


Mbn-2016-result まず「
レースでのタイ」であることから、RRS A7を適用します。
RRS A7に基づいて:
3位の艇が2艇ある場合
33点、44----------合計7点 同位の2艇で割る = 各艇3.5点 となる。

3位の艇が3艇ある場合
33点、44点、55----------合計12点 同位の3艇で割る = 各艇4点 となる。


(3)
回答その2

>1レースのみの完了で、そのレースが同一修正時間になった場合、大会としての、すなわちシリーズとしてのタイの解消はどうするのでしょうか?

大会すなわち「シリーズでのタイ」であることから、RRS A8を適用します。

RRS A8に基づいて「タイ」を解こうとしますが、 1レースしか完了していないため、この規則で「タイを解くことは不可能」です。
例えば2艇の修正時間が同一で、1位だった場合は、
2艇優勝」しかありません

ディンギ・レース:
こうした事態を防ぐためにも、特にディンギのレース等の帆走指示書では、例えば、「
SI 16 得点 本大会の成立のためには、4レースを完了することが必要である。」の文面を入れ、1レースしか完了しないのにシリーズが成立してしまうことを防いでいます。

1レースのみで優勝ということは、大会の権威に疑問符がつき兼ねませんし、フェアな大会とは言えません。

オフショア・レース:
しかしながら、ディスタンス
1本だけのレース(キールボート・レガッタでは珍しくない)では、ご指摘の事態が発生しないとは限りません。
RRSに従わないわけではないが、諸般の事情から優勝艇は1艇だけ(例えば、優勝カップが一つしかないとか)にせざるを得ない大会もままあることです。

こういった事態を想定しているのか定かではありませんが、『シリーズの得点のタイが、付則A8(シリーズでのタイ)を用いても解けない場合、TCC値またはレーティング値の小さい艇を上位とする。』とした帆走指示書を時々見かけます。
しかし下記理由から推奨されるものではありません。

① クラス規則の変更に関わるものであり、RRS 87に基づくクラス協会の許可が必要なこと。
② そもそも「TCC値の低い艇をなぜ上位にするのか」の根拠が定かでないこと。

それでも敢えてシリーズのタイを解消したい場合は帆走指示書(SIs)において”クラス規則の変更にならないように”、
RRS付則A(得点)の変更としてシリーズの得点のタイが、付則A8(シリーズでのタイ)を用いても解けない場合、TCC値またはレーティング値の小さい艇を上位とする。これはRRSA8を変更している』の指示を入れることになる。ただし、繰り返しになるが奨められるものではない。


よって、RRS A7. A8およびIRC規則に基づき『レースでもタイ、シリーズでもタイ』の措置をとるのが本来のルールである。

因みに、世界的に著名なレースである Sydney Hobart Yacht RaceVendee GlobeNewport Bermuda Race、Transpacific Yacht Raceのようなオフショア1本だけのレースの帆走指示書を調べてみたが、特別な記述はなく、そうであればRRSIRC規則に基づくしかありません。
でも世界一周レースでまさか同一修正時間(同着)が起きるとは、誰も想定しないですよね????


関連記事:2009-09-16『抗議書シリーズ2 「フィニッシュと正常な位置にある装備」』http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-0914.html

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