カテゴリー「Learn the RRS 」の105件の記事

(RRSを学ぶ)

2017年1月30日 (月)

「規則21:免罪」事例 その2

2017-01-25付『読者からの質問と回答 「規則21:免罪の改定」』において、新RRS2017-2020の規則21(免罪)が第2章C節からD節へ移項されたことを紹介しました。
内容的になかなか難解であるため、他の例を追加しておきます。
リーズナブルな変更であることが理解でき、また、予ねてよりの懸案であった『両艇規則違反』のケースにも一定の解“が示されているのではないでしょうか。

Rule 21 (Exoneration) Change in the 2017-2020 Racing Rules of Sailing:「rule21_dave_dick_rob.pdf」をダウンロード

Rule211_1   Rule211_2 Rule211_3 Rule211_4 Rule211_5
関連記事:
2017-01-25『「規則21:免罪」事例 その1http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/21-1-3881.html
2017-01-20『
読者からの質問と回答 「規則21:免罪の改定」』http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/21-c6af.html

| | コメント (0)

2017年1月27日 (金)

RRSはどの時点から適用されるのか?

Jpeg_4RRSはどの時点から適用されるのか?

レーシング・ルール(RRS)の中で、最もGameに影響する規則は第2章/艇が出会った場合(航路権規則)である。今回その前文が改定された。

1.新旧2前文の比較
2013-2016 2章前文
2章の規則は、艇がレース・エリア内、またはその近くを帆走していて、レースをしようとしているか、レース中か、またはレースをしていた艇間に適用する。ただし、レース中でない艇は、規則24.1の場合を除き、第2章の規則のいずれかに違反したとしてもペナルティーを課せられることはない。

2017-2020 2章前文
2章の規則は、艇がレース・エリア内、またはその近くを帆走していて、レースをしようとしているか、レース中か、またはレースをしていた艇間に適用する。ただし、レース中でない艇は、インシデントにより傷害または重大な損傷が起きた場合の規則14または規則24.1の場合を除き、第2章の規則のいずれかに違反したとしてもペナルティーを課せられることはない。

要は、「インシデントにより傷害または重大な損傷が起きた場合の規則14」の違反が、ペナルティーの対象に加えられただけである。<規則14:接触の回避、規則24.1:レース中の艇への妨害>

2.前文の解釈
・ まず『第2章の規則が適用されるのはレース中であり、それは準備信号が発せられた時点からフィニッシュするまで』と まかに 解釈するのは、それなりに正しい。
・ 
そうであれば、レース中でない艇は規則に違反しようが、しないが同じことなのか?
・ レース中でない艇は、・・・・、第2章の規則のいずれかに違反したとしてもペナルティーを課せられることはない、とは何を意味するのか?
の疑問が生じてくる。

3.予告信号の前に起きたインシデントの例
ISAF Q&A J11 2010-29:
予告信号の前に起きたインシデントの救済
質問

レースの予告信号の2-3分前、レースでスタートしようとしている2艇間にポート・スターボードの衝突があった。
スターボード・タック艇に重大な損傷があり、その艇は損傷のためそのレースでスタートすることができなかった。スタートすることができなかったレースで、その艇は救済の資格があるか?
ポート・タック艇はそのままスタートし、フィニッシュしたが、ペナルティーは課せられないのか?

■ 
2013-2016に基づく結論と適用規則・判決

1.
インシデントが発生した時点は予告信号の2分前であり、場所はスタート・ラインの風下5mであった。よって第2章の前文に基づき両艇はスタートしようとしていた。
2.
スターボード・タックであった航路権艇は、何ら規則に違反せず、自身の過失でなく物理的損傷を被ったため、規則62.1(b) に基づき救済が与えられる。
3.
ポート・タック艇は、規則10および規則14に違反した。しかしながら、レース中ではなかったため、第2章規則の前文に従いペナルティーは課さない。

■ 2017-2020に基づく結論と適用規則・判決
1.
インシデントが発生した時点は予告信号の2分前であり、場所はスタート・ラインの風下5mであった。よって第2章の前文に基づき両艇はスタートしようとしていた。<旧と同じ>
2.
スターボード・タックであった航路権艇は、何ら規則に違反せず、自身の過失でなく物理的損傷を被ったため、規則62.1(b) に基づき救済が与えられる。<旧と同じ>
3.
ポート・タック艇は、規則10および規則14に違反した。よって失格(DSQ)とする。

■ 旧規則では、
違反した艇に何のペナルティーも課せられないので、違反しなかったと同じである、適切でない表現かも知れないが「やり得」。
・ 新規則であれば、違反艇はインシデントにより傷害または重大な損傷が起きた場合の規則14違反に該当するため、ペナルティーが課せられる。
・ 
すなわち接触の回避はレース中でない時点でも適用される。よりリーズナブルな改定といってよい。

4.まとめ
RRSの規則は第1章から第7章まであるが、すべての規則が大会およびレースのあらゆるシーンで適用される訳ではない。大会の進行に沿って、適用される規則が取捨選択される。
Gameに大きな影響を与える航路権規則は、レース中は当然のことであるが、レースをしようとしている艇レースをしていた艇にも適用される。
今般の2章航路権規則の改定を機に、「RRSはどの時点から適用されるのか?」として纏めてみた。
くれぐれも思わぬ落とし穴にかかりませんように!

RRSはどの時点から適用されるのか?pdf:「rrs20172020whileracing.pdf」をダウンロード

関連記事:2010-09-13RRS2章の規則はどの時点から適用されるのか?」http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/rrs2-2c14.html

| | コメント (0)

2017年1月25日 (水)

「規則21:免罪」事例 その1

Examples regarding Rule 21: Exoneration

ISAF Q&A: M 014 Q&A 2011-027

Published: 21 January 2012 (Now Modified in accordance with new RRS 2017-2020 by 'Editor')

Question 4
What are the fundaments of the difference between rules 21(a) and 21(b) with regard to rules 15 and 16?

Answer 4
When a boat entitled to mark or mark-room is sailing within the room or mark-room, she must comply with rules 15 and 16.
However, sometimes complying with these rules means that the boat entitled to mark or mark-room will not be able to actually round the mark.
This is why rule 21(a), contrary to rule 21(b), provides for exoneration for a boat entitled to mark or mark-room that breaks either of those rules while sailing within the room or mark-room.

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 

Example11_2Example 1: rule 16 (Changing Course)

Two boats, RED and GREEN approach a windward mark to left to port. RED is inside boat, entitled to mark-room, has trouble getting to the mark. She luffs hard when she rounds the mark and there's contact between the boats. RED is right-of-way boat, GREEN is keeping clear, and if RED wouldn't have changed course so rapidly, there would not have been contact. GREEN left enough room for a 'normal' luff.

RED breaks rule 16.1 by not giving enough room to GREEN to keep clear. Nevertheless RED is exonerated under rule 21(a) because she is rounding the mark when doing so.

CONCLUSION AND RULES THAT APPLY:
1.RED broke rule 16.1. Nevertheless She is exonerated under rule 21(a) because she was sailing within the
mark-room to which she was entitled by rule 18.2(b).
2.GREEN broke rule 11. Nevertheless She is exonerated under rule 21(a) because she was sailing within the room to which she was entitled by rule 16.1.

3.Both boats broke rule 14, but both are exonerated under rule 14(b). Because RED is a R-O-W boat and GREEN is a boat entitled to room.
DECISION:
Protest dismissed.



--------------------------------------------------------------------------
Example21_3Example 2: rule 15 (Acquring R-O-W)

There are big waves on the course. Two boats, BLUE and PURPLE sail toward the leeward mark to be left to starboard. Entering the 3BL zone Blue is clear ahead and gets mark-room.
While sailing toward the mark PURPLE becomes right of-way boat under rule 11. BLUE is not changing course but gybes between positions 2 and three. BLUE becomes right-of-way starboard tack boat.

Normally BLUE would be penalized for breaking rule 15, because she does not initially give room to PURPLE to keep clear. But because she is sailing to the mark, she gets exoneration under rule 21(a).

CONCLUSION AND RULES THAT APPLY:
1.BLUE broke rule 15. Nevertheless She is exonerated under rule 21(a) because she was sailing within the
mark-room to which she was entitled by rule 18.2(b).

2.PURPLE broke rule 10. Nevertheless She is exonerated under rule 21(a) because she was sailing within the room to which she was entitles by rule 15.

3.Both boats broke rule 14, but both are exonerated under rule 14(b).  Because BLUE is a R-O-W boat and PURPLE is a boat entitled to room.

DECISION:
Protest dismissed.

関連記事:2017-01-20『読者からの質問と回答「規則21:免罪の改定」』http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/21-c6af.html

| | コメント (0)

2017年1月20日 (金)

読者からの質問と回答 「規則21:免罪の改定」

Diagram_a読者からの質問:
>規則21(免罪)は、旧RRSでは「第2章 C節:マークおよび障害物において」の条項でしたが、新RRS2017-2020では「D節:その他の規則」に移管されています。
>また文頭の「C節の規則に基づくルームまたはマークルーム」から、C節の規則が抹消され、単に「ルームまたはマークルーム」に変更されています。

単なる字句の整備、条項番号合わせではないように思われます、何か理由があるのでしょうか?

編集者による回答:
World Sailing レーシングルール委員のDick Rose氏<既報のRRS2017-2020 Study Versionの筆者>の下記解説を紹介します。
少し
難解ですが、リーズナブルな変更であることが理解できます。
また予ねてより懸案であった『両艇規則違反』のケースにも一定の解“が示されたのではないでしょうか。

Sailing World: New Year, New Rules
By DICK ROSE SEPTEMBER 27, 2016

新規則 21(免罪)
C節の規則に基づくルームまたはマークルームを得る資格のある艇が、そのルームまたはマークルームを帆走している場合、その艇にルームまたはマークルームを与える必要がある艇とのインシデントにおいて、次の場合、資格のある艇は免罪されなければならない。
(a) A節の規則または規則15もしくは規則16に違反した場合、または
(b) 規則31違反を強いられた場合。

ルームまたはマークルームを得る資格のある艇が、そのルームまたはマークルーム内を帆走している場合、ルームまたはマークルームを与える必要がある艇とのインシデントにおいて、次の場合、資格のある艇は免罪されなければならない。(a)A節の規則または規則15もしくは規則16に違反した場合、または、(b)規則31に違反せざるを得なくなった(違反を強いられた)場合。

改定された規則21は、ある艇が得る資格のあるルームまたはマークルーム内を帆走している場合、いつでも適用される。ルール・ブック2013-2016版においては、規則21は、艇がルームまたはマークルームを得る資格の規則がC節の規則である場合のみ適用された。2つの規則が、艇に他艇にマークルームを与えることを要求している: ともにC節内の規則18.2および規則18.34つの規則が、艇に他艇にルームを与えることを要求している:C節内の規則19.2(b)および規則20.2(c)、およびB節内の規則15および規則16.1。新しい規則は記憶するのに容易である、なぜなら、いかなる規則でも、艇にルームまたはマークルームを得る資格を与えた場合、その規則がルール・ブックのどの箇所にあるかに関わらず、規則の保護を享受できる。

改定された規則21がなぜより公正な規則であるかを知るために、見取図Aに示すよくある場面を考究してみてください、TomJerryがスピネーカーをセットし、ランで帆走中を示す場面である。Tomはクリア・アスターンからJerryに追いついた、それ故にJerryはプロパー・コースより風上を帆走することができる(規則17参照)。JerryTomに対し急激にラフしたので、Tomは速やかに応じ、接触を回避するためシーマンらしいやり方でできることをしたけれども、位置2において、TomのスピネーカーとJerryの風上側のシュラウドが接触した。損傷はなく、どちらの艇もペナルティーを履行しなかった。Tomは、Jerryの急激なラフがTomに避けているためのルームを与えなかったことにより規則16.1に違反した、ことを理由として申し立て、抗議した。

プロテスト委員会は、Tomが主張したとおり、Jerryが規則16.1に違反したと判決したしかしまた、Tom も避けていなかったことによって規則11に違反した、と判決を下した。旧規則に基づけば、Jerryの規則16.1違反が、Tomに規則11違反を強いた場合のみ、Tomは免罪されることができる(規則64.1(a)参照)Tomは規則11違反を強いられなかった、なぜならTomは、たとえそのような対応がブローティングする危険を冒したり、シーマンらしくなかったりしても、直ちにかつより激しいラフができたであろうからである。

旧規則に基づけば、Tomは規則11違反のため失格となったであろう、しかし改定された規則21に基づけば、Tomは免罪されるだろう、なぜならJerryのラフに対してシーマンらしいやり方で速やかに応じている間、Tom得る資格のあるルーム内を帆走していたからである。著者としては、改定された規則21はより公正である、なぜなら、この例は艇が規則15および規則16.1によって必要とされるルームを与えなかった場合に発生するような場面を扱っている、これは我々が、C節の規則に基づくルームまたはルームを与えなかったことを扱うのと同じ方法だからである。

認定された事実:<編集者記>

1. Tom and Jerry sailing on a run, spinnakers set. Tom overtook Jerry from clear astern within two lengths of Tom.
2. And while remaining on the same tack and overlapped, Jerry luffed Tom so rapidly that even though Tom responded promptly and did all she can in a seamanlike way to avoid contact, Tom’s spinnaker touched Jerry’s windward shroud.
3. There’s no damage, and neither boat takes a penalty.

結論と適用規則:

1. When Jerry, the right-of-way boat, changed course she did not give Tom room to keep clear. Jerry broke rule 16.1.
2. Tom to windward did not keep clear of Jerry to leeward. Tom broke rule 11. Nevertheless Tom is exonerated under rule 21(a) because she was sailing within the room to which she was entitled. 

判決:
Jerry is DSQ.

------------------------------------------------------------------------

参考記事: 旧RRS2013-2016を適用した例
2010-02-13「STRANGE CASE Num.01 - Both boats penalized」

Rrs17_jpeg_2Strange Case #01 - Both boats penalized (ISAF Q&A 2009-024)

プロパー・コースより風上にラフしている艇は、避けていなければならない義務がある風上艇にかかる圧力を軽くしてはいない。このような場面においては、両艇とも規則に違反し、それゆえペナルティーを課せられる可能性が高い(かつそれ程まれでもない)。

この状況は、艇(L)が他艇(W)の風下となり、規則17 が適用されるときに起こることに似ている。規則11L に航路権を与えているが、規則17L にプロパー・コースより風上を帆走しないよう求めている。L がプロパー・コースより風上を帆走している場合でも、Wはやはり避けている必要がある(すなわち、規則11 に従う)。ただし、Lは規則17 違反で失格とされる。Wが避けておらず、Lがプロパー・コースより風上を帆走する場合には、両艇とも失格とされる。(ISAF Q&A 2009-024, 2010年1月削除)

A boat luffing above its proper course does not relieve a windward boat of her obligation to keep clear. In all of these situations it is quite possible (and not so rare) that both boats break the rules and are therefore should be penalised.

The situation is similar to what happens when a boat (L) comes in to leeward of another (W) and rule 17 applies. Rule 11 gives L the right of way; but rule 17 requires L not to sail above her proper course. If L sails above her proper course, W still needs to keep clear (i.e. comply with rule 11); but L should be disqualified for breaking rule 17. If W fails to keep clear and L sails above her proper course, they will both be disqualified. (ISAF Q&A 2009-024, Jan 2010 deleted)
http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/strange-case-1.html

| | コメント (0)

2016年11月 5日 (土)

The Perfect Finish - Powerpointプレゼンテーション

Theperfectfinish_jpeg_2The Perfect Finish

DON’T FORGET
The Start you can do over and over The Finish only ONCE!

スタートは何度も何度もやり直せるが フィニッシュは一度だけ! 

レース委員長への警鐘句である。
レースにおけるスタート/フィニッシュは、セーラーには勿論のこと、運営側にとっても極めて重要な局面であり、最大限に神経を使うシーンである。
しかしながらスタートへの関心度合が高いのに較べ、フィニッシュにはそれ程の注目がされないのように思えるのは気のせいだろうか?

2016
年を振り返る時、編集者が関わったレースにおいて、
 ・フィニッシュを見逃したケースはなかったか?
 ・フィニッシュを見誤ったケースはなかったか?
 ・複数の艇が集中して(団子になって)フィニッシュしたことはなかったか?
 ・フィニッシュ・ライン近くでインシデントが発生したことはなかったか?
 ・規則に従わないフィニッシュを現認したことはなかったか?
 ・コースの短縮は規則に則り行ったか?
 
・予定された時間内に成績表の作成ができたか?
Dont_forget_jpeg_2 
・大会後に成績を訂正するようなことはなかったか?
等々、決して他人事とは思えない事例が発生した(筈である)。果たして公正で、かつ規則に従った措置ができたのか、自信を持って言い切れるかどうか些か疑問もある。

The Start you can do over and over The Finish only ONCE!」はフィニッシュの重要性をいみじくも表現した言葉である。
ISA(Ireland Sailing Association) が ISAF Race Management Manual を参考に、フィニッシュに焦点を絞りまとめたプレゼンテーション「The Perfect Finish」を紹介する。

The Perfect Finish PowerPoint Presentation pptx:「theperfectfinish_by_smallpdf_pptx.pptx」をダウンロード ppsx:「theperfectfinish_by_smallpdf_ppsx.ppsx」をダウンロード 


参考:
ISAF Q&A E004 Q&A 2015.011「qa2015.011E004-[19516] -JPN.pdf」をダウンロード
「rmmanualpart12009v26936.zip」をダウンロード 「rmmanualpart22009v26937.zip」をダウンロード 「rmmanualpart32009v26938.zip」をダウンロード

| | コメント (0)

2016年9月 4日 (日)

QUESTION FROM A FAN: Meaning of a signal "AP over H"?

Ap_h_flag_2 Meaning of a signal "AP over H" ?     2010/12/01

QUESTION (from a reader);

>Please, explain to me, whether is meaning of a signal "AP over H" - besides that is written in the book of rules - all must immediately go on beach. I hoist this signal from safety reasons. But yachts remain on water - to train. Sailors: "About Signals ashore we will be informed by the coach, we will wait here".
>Whether it means that in the SI it is necessary to stipulate a special flag: "Immediately follow on the beach" (a RUS RO)


ANSWER (by the blog editor);
(1) Flag "AP over H" means “Races not started are postponed. Further signals ashore.” The signal essentially expects all sailors to return to shore, but there is under no obligation to return.

(2) In the IODA World, European, North American and Asian Championships, there are Sailing Instructions as a reference for “safety Regulations”, which say as follows;

SI 20. SAFETY REGULATIONS
---

SI 20.3 When code flag B is displayed ashore each Coach or Team Leader shall sign a checklist at the Race Committee Office within 45 minutes after the flag has been displayed, to indicate that all team members have returned to shore. Flag B will be displayed when the last boat has finished the last race of the day or the race is abandoned. All team members may be penalised at the discretion of the Jury for each race of the day on which the Coach or Team Leader failed to comply with this instruction. This changes rule 63.1.

(3) Defects in the SI 20.3;
The code flag B encourages sailors to return to shore. But there are three defects in the SIs.
1. Defect one;
    
Flag B will be able to display when the last boat has finished the last race of the day or the race is abandoned.
    
In case of the question, the RC displays "AP over H" and the race is postponed, but not abandoned. Therefore, If sailors want to wait on the water, they will not break any rules and SIs and can remain on the water.
2. Defect two;
    
The SIs is written on the assumption that there are minimum two coaches who are on the water and on the shore. If only one coach is on the water, it is impossible to see the flag B ashore. Then the SIs is not considerate of small teams.
3. Defect three;
    
Flag B will be displayed when the last boat has finished the last race of the day or the race is abandoned.” Even if the race is abandoned and ”only” flag N is displayed under rule 30 or 32.1, the RC has to display flag B under SI 20.3, although the RC intends to new start. Because the word ”will” in the Sis means the intention of the RC (Appendix L). When "N over H" or "N over A" is display, displaying flag B is proper.

(4) My proposal;

The amended SIs will supplement these three defects and must ensure safety.

SI 20.3 When code flag B is displayed on the race committee boat and ashore, each Coach or Team Leader shall sign a checklist at the Race Committee Office within 45 minutes after the flag has been displayed, to indicate that all team members have returned to shore. Flag B will may be displayed when the last boat has finished the last race of the day or the race any race is abandoned or any race is postponed. All team members may be penalised at the discretion of the Jury for each race of the day on which the Coach or Team Leader failed to comply with this instruction. This changes rule 63.1.

Airticle copy pdf Dloadnowbutton_3「ap_and_h.pdf」をダウンロード

Attached
IODA North American Championship SIs Dloadnowbutton : 「ioda_northamerican2010_si.pdf」をダウンロード

| | コメント (0)

2016年2月28日 (日)

読者からの質問と回答 「延期・エンジン・マークタッチ」

読者からの質問:
昨年中に開催されたレースにおいてちょっと疑問に思ったことが何点かありますので、まとめてお尋ねします。(レース・オフィサー,E.Y

Ap_2読者からの質問1. レースの延期
>帆走指示書には次の記載があります、
6. 陸上で発する信号 AP旗が音響二声と共に掲げられた時は「レースは延期された。予告信号はAP旗の降下後30分以後に発せられる」ことを意味する。この項はレース信号・AP旗を変更している。』
30分以後」にしますと極端な話ですが、2時間後でも30分以後になります。レース海域で参加艇の集まり具合をチェックしながらでいいと思うのですが、もう少し時間の制約を設けてもいいと思うのですが、いかがでしょうか。
例えば、6. 陸上で発する信号 AP旗が音響二声と共に掲げられた時は「レースは延期された。予告信号はAP旗の降下後30分以後
60分以内に発せられる」ことを意味する。この項はレース信号・AP旗を変更している。』としたらどうかとおもいます。

編集者による回答1.
何か勘違いされているようです。 スタートラインへ来るのが遅い艇を待ってやりたい一方で、次のレースを遅延なくスタートしたい、との気持ちは理解できますが。
 まず「30分以後」は、陸上での判断(主に風、時には潮)によるもので、「これから出艇すれば、30分以内に全艇がレースエリアには到着でき、その後滞りなくスタートできるであろう時間」を設定するものです。
 次に海上では、陸上の判断と海上の状況に大きな変化がないならば、選手には冷たい対応となるかもしれないが、30分経つたら次のレースをスタートさせますよ(言い換えるとスタートラインに遅れている艇は待ちませんよ)を意味します。限りなく30分に近い時間(40分とか50分)にスタートさせることに何ら瑕疵はありません。
 しかしながら、海上の状況が陸上での判断から変化した場合は、条件が整うまで待つこと、それが2時間であるかも知れない、または一旦陸に帰らせること、もあり得ることで、レースオフィサーが判断することです。
 「レースは延期された。予告信号はAP旗の降下後30分以後60分以内に発せられる」の表現は適切ではありません。なぜなら、海上の状況により60分を超えてもスタートしたい場合、この条項にしばられて予告信号が発せられないことになってしまいます。
 現在の帆走指示書が適切でしょう。

Day3_9erworlds_20100105_3342_2読者からの質問2. レース中のエンジン使用およびマークタッチ
>RRS 42.3g)の解釈としまして、自艇のクルーが落水した場合でもエンジンの使用後、その後レース続行OKということでしょうか。他艇のクルー救助の場合は当然ですが。「どのような推進方法」というのはエンジンも可という解釈でいいのですね。
>今回2件落水がありました。Y旗を掲揚していましたので、結構吹いていましたが大丈夫でした。落水者がその艇に救助に来るのを待っている間、マークブイにつかまっていましたが、その艇のマークタッチになりますか?RRS31には「艇はマークと接触してならない」とありますが、乗員の文字はありません。乗艇中はクルーも艇になるのですか?


編集者による回答2.
RRS 42.3g)では、自艇であれ他艇であれクルーが落水した場合、危険な状態であるという条件で、エンジンの使用も許されることになります。救助のあと、エンジンを切ってレースを続行すれば是ということです。なお、このケースにおいて、他艇を救助した場合はRRS 62.1(c)に基づき救済要求ができますが、自艇のクルーを救助した場合はできませんので、為念。

 「落水者がマークブイにつかまっているのはその艇のマークタッチになりますか?」ということですが、結論は「マークタッチにはなりません。」
RRS 31
では「艇はマークと接触してはならない」とありますが、RRSの序文にある用語には、『「艇」は、セールボートおよび乗艇している乗員を意味する。』とあります。よってこのケースの場合、落水者は乗艇していない状態のため「艇」には含まれず、マークと接触したり掴まってもRRS 31違反にはなりません。勿論乗艇している乗員がマークに触れた場合はマークタッチです。
尚、落水の場合、乗員はRRS 47.2の後段に従い元の艇に戻らなければなりません。
ただしRRS 付則B ウインドサーフィン競技規則ではRRS 47.2が削除されているため、ウインドサーファーには戻る義務はありません。乗艇している人員でありながら、セールボートとウインドサーフィンで戻る義務が異なる“整合性のないRRS規則”です。これについては後日議論する予定です。

参考までにWorld Sailing Q&A L 008 Q&A 2016.0025 を紹介しておきます。全く同じ解釈がされています。
World Sailing Racing Rules Question and Answer Service
L 008 Q&A 2016.002  Published: 5 January 2016
Situation

Conditions are windy with strong gusts and high waves. The boats are 17 feet catamarans. One boat capsizes close to the port gate-mark, and the crew is thrown out of the boat and touches the mark with his body. When the crew touches the mark, he is not in contact with the boat. The crew then swims to the boat, which has drifted between the gate-marks without touching either of them.

Question
Has the boat broken rule 31?

Answer
No. Rule 31 refers to a boat, which shall not touch a mark. Under Terminology in the Introduction to the RRS (which, under the definition of ‘rule’, is a rule), the word ‘boat’ means a sailboat and the crew on board. When a crew member not on board touches a mark, then the boat does not break rule 31.

L008 Q&A 2016.002 pdf:「worldsailingqa2016.002L008-[19888].pdf」をダウンロード
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------

Mark_touch_3《RRS2013-2016抜粋》
RRS42.3(g) 推進方法 
危険な状態にある人員または他の船舶を救助するためには、どのような推進方法を用いてもよい

RRS62.1(c) 救済 規則1.1に従って救助(自艇またはその乗員への救助を除き)を行ったこと。

RRS31
 マークとの接触 レース中、は次のいずれかのマークと接触してはならない。

RRS序文 用語 定義に記載された意味で用いられている用語は太字で、前文では斜体の太字で示してある。「競技規則」は『セーリング競技規則』の個々の規則を意味する。(Boat, Board)は、セールボートおよび乗艇している乗員を意味する。船舶」は、あらゆるボ-トまたは船を意味する。「レース委員会」は、レース委員会の機能を果たすすべての人物または委員会を含む。ある規則の「変更」は、その規則に対する追加、もしくはすべてまたは一部の削除を含む。「各国連盟」は、ISAF加盟の各国連盟を意味する。他の単語および用語は、海事用語または一般用語として通常理解される意味で用いられている。

RRS47.2 装備と乗員の制限 乗艇している人員は、病気または負傷の場合、または危険な状態にある人員または船舶を救助するため、または泳ぐためを除き、故意に艇を離れてはならない。ただし、偶発的に、または泳ぐために艇を離れた者は、レースを続ける前に艇に戻らなければならない。
----------------------------------------------------------------------------------

読者からの質問3.
「マークと接触することにより著しく有利になる」ということはあり得るのですか?


編集者による回答3.
よくあることです。例えば、マーク回航を多くの艇が同時に行なおうとしている場合、ある艇が強引に内側に割り込み、あえてマークと接触しながら最も内側の良い位置でマーク回航し、その後1回転をさっさと済ませ、次のレグに向う、ケースが代表的なものです。またスタート時に信号艇に掴まるのはもっての外ですが、あり得ることです(例:強潮時)。
このような場合には、
RRS 44.1(b)の後段で述べているように、1回転ペナルティーを履行したとしても「リタイアしなければなりません」。

* Our fellow Japanese sailors: "ask not what your JSAF can do for you -- ask what you can do for your JSAF". .

| | コメント (0)

2015年12月27日 (日)

読者からの質問と回答 「スタート・ラインの長さ」

Rmm_p1_2読者からの質問:
>キール・ボートのレース運営を担当しているものです。キール・ボート・レースの「スタート・ラインの設定」についてお尋ねします。
>景気上向きの影響か、近年参加艇が徐々に増加し、昨年の大会では50艇近くになりました。
さて、スタート・ラインの長さについてですが、一般的に言われているように、
『スタート・ラインの長さ=艇数×艇長×1.51.2
の式に合わせて設定するようにしていました。ちなみに本大会では計算上は「50艇×平均艇長10m×1.5750m」となったため、少し短めということで600-650m位に設定しました。
>しかしこれ以上参加艇が増えた場合、このままの計算式で良いのか? との疑問があります。
また,スタート・ラインをこれ以上長くするとリコールの判定は極めて困難になってきます。
今でも本部船とピンエンド艇の両方で確認していますが、艇が重なった場合
OCSを正確に把握できないケースが実際に起きています。

なにか良いアイデアはないでしょうか? よろしくお願いいたします。(T.M)

Rmm_p2編集者による回答:
編集者が関与した大会でも同じ悩みを聴いたことがあります。
質問にありますように、マニュアル(ルールではない)等には、「スタート・ラインの長さ=艇の数×艇の長さ プラス10%~50%」の記載があり、小型艇ディンギーの場合、プラス100%のといったオリンピックの指針も紹介されています。<右図 ISAF Race Management Manual 参照>

ちなみに所属する水域においても、50艇を超すキールボート・レガッタが2015年度には3レガッタありました。最大のレガッタでは90艇の参加があり、一斉スタートのためスタート・ラインは驚くほど長い(約900m?)ものでした。

解決策として2つの例を紹介します。
(1) J/24 World Championship 2014 帆走指示書
9.4 The starting marks will be race committee boats at each end of the starting line.  In the event that the port-end line race committee boat is not in place, it will be replaced with an orange tetrahedron inflatable buoy.

11.2 The starting line will be between staffs displaying orange flags or between a staff displaying an orange flag from the Signal Boat and the course side of a starting mark.
In the event of a 3 boat starting line, the starting line will be between staffs displaying orange flags located on the Port end boat, the port side of the Signal boat (mid-line boat), the starboard side of the Signal boat and Starboard end boat. All signals both visual and audible will originate from the mid-line boat.


J24_startline_29.4 スタート・マークはスタート・ラインの各端にあるレース委員会艇とする。ポートの端のレース委員会艇を設置しない場合は、オレンジ色の四面体膨張型ヴイで置き換える。

11.2 スタート・ラインはオレンジ旗を掲揚しているポールとの間、または、信号艇のオレンジ旗を掲揚しているポールとスタート・マークのコース側との間とする。
3
艇でのスタート・ラインの場合、スタート・ラインは、ポートの端にある艇、信号艇(中間点艇)のポート側、信号艇のスターボード側、スターボードの端にある艇、の各々にオレンジ旗を掲揚しているポールの間とする。全ての信号、視覚および音響信号は中間艇から発する。

要約すると、スタート・ラインを3艇で構成し、各艇に掲げたオレンジ旗をラインの見通しとする、スタートシーケンスに使用する信号(予告、準備、スタート、OCS、ジェネラルリコール等,)は中間に位置する信号艇から発する、リコール判定も中間の信号艇が最終的にする、ことになる。

2014 J/24 World では71艇の参加があり、件の計算式では70艇×艇長7m×1.5735m」となってしまう。この3艇方式であれば、その半分の370m程度がスタート・ラインと見做せることになり、あのシビアーな(?)ワンデザイン・クラスのスタートをコントロールしようとしている。特に参加艇の多い米国での大会では以前から採用し、効果を上げている。
以前カナダ大会のレース委員長から中間艇の位置を心持ち高めにとのヒントをいただいたことがある。理由としては、①真中(すなわち中間信号艇)が引っ込んでいると、レース艇からスタートシーケンスの信号旗が見え難いこと、②Pin-End (両端)にレース艇が集中すると、中間艇からリコール艇が読み難いこと、であろう。
尚、通常のP旗スタートでは問題ないが、I旗を適用した場合のOCS解消の方法にひと工夫した規則変更が帆走指示書でなされているが、ここではそのイメージ図の紹介にとどめておく。(詳細は帆走指示書に記載)

(2) 関西空港一周レース 帆走指示書
Kanku_startline_211-2 スタート・ラインは、スターボードの端にある赤色のスタート・マークと、中間にあるレース委員会信号艇のオレンジ旗を掲揚したポールと、ポートにある黄色のスタート・マークを結ぶラインとする。

2010年に始まった関空一周レースも年々参加艇が増加し、2015年大会では82艇の参加があった。件の計算式の理屈では「82艇×平均艇長10m×1.51,230m」、すなわちスタート・ラインが1kmを超えることになってしまう。クラス分けとかの案も検討されたが、一斉スタートの華々しさを失いたくない、ライン・オナー賞を授与したい等の思いが強く、結論的にはJ/24 Worldの方式をアレンジした帆走指示書としている。スキッパーミーティングで丁寧な解説がなされ、リコールなしのスタートが実現したので一応成功と云える。
I旗は、オープンクラスの艇が多いこともあり最初から適用を除外している

J/24 World Championship 2014
帆走指示書pdf:「j24_worlds_2014_sailing_instructions.pdf」をダウンロード
関西空港一周レース 帆走指示書pdf:「kanku_race_sis_2015.pdf」をダウンロード

Https__www_facebook_com_wattsmarine2016-02-04 updated:
Quantum Racingの
FaceBookにQuantum Key West Raceの J/70 Class のスタートシーンの動画が載っていますので紹介しておきます。
スタート信号艇とミッドライン・ボート、ピンエンドライン・ボートの3艇でスタート・ラインが設置されている。また、『3艇は必ずしも直線上にならない場合がある』とのことわりがある。


Key West Race 2015 Sailing Instructions
10.2.2.1 The starting line will consist of three committee boats; starboard-end signal boat, mid-line boat and port-end line boat. The mid-line boat might not be on a straight line between the starboard-end signal boat and the port-end line boat.
10.2.2.2
For the J/70 class, the starting line will be between a staff displaying an orange flag on the starboardend signal boat and a staff displaying an orange flag on the mid-line boat and between staffs displaying orange flags on the mid-line boat and the port-end line boat (not depicted in course diagrams).
***
帆走指示書:「kw15sailinginstructions_acro.pdf」をダウンロード

********************************************************************************************

| | コメント (0)

2015年11月16日 (月)

読者からの質問と回答 「オフセット・マークの回航」

La_wa_1_2読者からの質問;
>
先般開催されたキールボートレガッタのインショアーレースは風上-風下コースで、風上マークのポート側に「オフセット・マーク(Offset Mark)」が設置され、マーク1(風上マーク)を回航後、オフセット・マーク1aを回航する帆走指示書でした。
>
さて、マーク1とオフセット・マークとの距離が思ったより短く、推定ですが20m前後しかなく、オフセット・マークを回航後、ポートタックで上ってくる艇と交差しそうになったり、ジャイブができにくい場面がありました。尚二つのマークはほぼ平行に位置していました。
>
そこで3つの疑問がありますので、質問いたします。
>質問1 
>ある艇がマーク1に接触し、ばたばたしている間に、マーク1とオフセット・マークとの距離が狭いこともあって、オフセット・マークにも接触していました。
この場合、規則44.1に基づく1回転ペナルティーは二度(マーク1との接触+オフセット・マークとの接触)、すなわち2回転しなければならないのでしょうか? 
二度しなければならない場合、回転する場所はオフセット・マーク1aを回航したあとでよいのでしょうか?

>質問2 
>また別のレースでは、ある艇がマーク1を回航後、オフセット・マークを見逃し、そのまま風下レグへ進んでしまいました。その艇は直後に見逃しに気が付き、マーク1から回り直しをし、オフセット・マークを回航した場面を見ました。
>このケースの場合、マーク1の回り直しは必要ありませんよね? 
>それともマーク1とオフセット・マークは「セット」なので、2つとも回り直さなければならないのでしょうか?

>質問3 
>そもそもマーク間の距離に何mとか何艇身とかの基準はないのでしょうか?
>
以上よろしくお願いいたします。
(T.I)

編集者による回答;
このようなケースが起きたそもそも原因はマーク1とオフセット・マークとの距離が 狭すぎることにあります。
このマークの目的である安全が担保できない設置はナンセンスですし、無駄と云うものでしょう。狭すぎるよりむしろ広すぎる方がオフセット・マークの本来の機能を発揮できることになります。
mと決めるより、クラスの要件に合わせ「何艇身」と考えるべきでしょう。後述の実際例等からすると、10-15艇身がリーズナブルなところでしょうか。

まず回答をします。

Touching_double_marks回答1: (右図参照)
・ マーク1との接触+オフセット・マークとの接触で二度の1回転(あわせて2回転)をしなければなりません。
・ 回転場所は、オフセット・マーク1aを回航したあとでOKです。
 規則44.21回転と2回転ペナルティー)では「艇は、インシデントの後きるだけ早く他艇から十分離れた後、1回のタックと1回のジャイブを含む回転を、・・・・」とあるが、このケースのように二つのマークが(異常に?)近い場合には、マークとマークとの間での回転は不可能とみなし、この図のようにオフセット・マークを回航した位置を「離れた」と見做すことができます。(勿論周りに他艇がいないという条件には従わなければなりません)
・ 二つのマークが十分離れている場合は、マーク1との接触後に他艇から離れて1回転し、その後にオフセット・マークを回航し、もし接触すれば更に1回転をしなければなりません。(規則どおり)


Mark_rounding_mistakes回答2: (右図参照)
・ マーク1とオフセット・マークが「セット(一対一組)」という観念はありません。各々が独立したマークと考えてください。
・ 見逃したオフセット・マークのみを回ればOKです。

・ 質問の艇(黄色艇)のマーク1の回り直しは必要ありません。規則違反ではありませんが、"無駄な" 帆走です。
・ 青色艇の航跡が正解です。

 オフセットとはそもそも「水平に隔離する」との意味です。あるクラスの帆走指示書では Spreader Mark(横に広げたマーク)と呼称しているように、横並びに設置される状態を表すものです。

回答3
・ オフセット・マークの基準的なものは、RRSには何の記述もありません。唯一「附則L:帆走指示書ガイド」のコースの図示(4)に「風上マークでオフセット・マークを用いる」との記述があるだけです。
・ またISAF Race Management Manualにも1箇所しか記述がありません。(下記)
 詳しくは
2014-10-27『読者からの質問と回答 「オフセット・マークとゲート」』を参照ください。http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-3865.html

Rmm_offset_markISAF Race Management Manual
オフセット・マーク 
このマークは、風下レグを始めて、スピネーカーをホイストしている艇と、風上レグを第1マークにアプローチしている艇を、引き離すために、種々のクラスで使用される。設置されるマークの、第1マークからの角度と距離は、クラスごとに特有である。大会準備の早い段階において、レース・オフィサーとクラス協会の間での多くの折衝項目の一つである。 
主要な大会では、オフセット・マークは、内角
80°, 距離0.02海里(40mで設置されることになるだろう。
ただし解説の部には、距離50-100 metresとか、内角80°- 90°、距離60mの表現もある。
マーク
このマークは通常は第1マークよりも小さい。ダン・ブイ(Dan buoy: 標識浮標)がこのマークにしばしば使用される。もし、第1マークとオフセット・マークの両方が同じ大きさと形状ならば、片方のマークだけの移動によって、風下レグの素早い調整が可能となる。

***************************************************************************
これだけでは十分な回答になっていない気がするため、少し掘り下げ、各クラス別の帆走指示書を閲覧してみた。まさにクラスの特性を反映している。

オフセット・マークの設置の際、少しでも参考になれば幸甚である。
--------------------------------------------------------------------------

Doragon_diagramOffset Mark / Spreader Markを適用した帆走指示書(4例)
#1
INTERNATIONAL DRAGON CLASS WORLD CHAMPIONSHIP 2015

4 – 12 June 2015, LA ROCHELLE – FRANCE

SAILING INSTRUCTIONS
8. COURSES

See Attachment B.
・ All course marks are to be left to port, except marks 3s.
・ Distance between mark 1 and mark 2: 100m approx.
・ Angle between upwind leg and bearing from mark 1 to mark 2: 100° approx.

8.1 Start – 1 – 2 – Gate 3(s) 3(p) – 1 –2 - Gate 3(s) 3(p) – finish.

9. MARKS
9.1 Marks 1, 2 and 3s/3p will be inflatable tetrahedral orange buoys.
9.2 New marks, as provided in instruction 12.1, will be inflatable tetrahedral black buoys.

<まとめ>
(1) Offsetマークを設置。
(2)風上マーク(マーク1)とOffsetマーク(マーク2)間の距離は約100m。<約11艇身>
(3)風上レグとマーク1からOffsetマークへの方位間の角度は約100度。<やや風上>
理由:スピネーカーあり艇
(4)マーク1Offsetマークは同一形状、代替マークも同一形状。


----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

Snipe_diagram#2
SNIPE CLASS 2014 WESTERN HEMISPHERE & ORIENT CHAMPIONSHIP

SEPTEMBER 6, 2014 through SEPTEMBER 12, 2014,
SAN DIEGO, CALIFORNIA, USA

SAILING INSTRUCTIONS
8 THE COURSES
8.1 The diagrams bellow show the courses, including the approximate angles between legs, the order in which marks are to be passed. All course marks (except gates) shall be left to port.

9 MARKS
9.1 Marks 1, 2, (3 and 3P) will be red inflatable cones, and may have white bands with sponsor logos attached.
9.2 Mark 1A will be an orange ball.
9.3 New marks, as provided in instruction 12.1, will be yellow tetrahedrons.


<まとめ>

(1)風上-風下コースの場合(他にOLYMPICコース、TRIANGLEコースあり)、Offsetマークを設置。
(2)風上マーク(マーク1)Offsetマーク(マーク1A)間の距離については記述なし。
(3)風上レグとマーク1からOffsetマークへの方位間の角度の記述はないが、90度より少ない。<やや風下>
理由:スピネーカーなし艇

(4)マーク1はブイ、Offsetマークはボールで、形状は異なる。代替マークは同一形状。

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
Melges_diagram_2#3
MELGES 24 CLASS WORLD CHAMPIONSHIP 2014

27 January - 02 February 2014, Royal Geelong Yacht Club Geelong, Victoria, Aistralia

SAILING INSTRUCTIONS
11 COURSES

11.1 The course to be sailed will be windward-leeward.
11.2 Spreader/offset marks and leeward gates will be used, as shown in Addendum A.
--
11.5 Marks 1 and 1a shall be left to port. Mark 1a is an offset mark and will be positioned to port of mark 1.
11.6 If only one gate mark is set, boats shall leave the single mark to port.

12 MARKS

12.1 Description of the Marks:
                           Original Marks      New Marks 

Mark 1               Orange Inflatable   Blue Inflatable
Mark 1A            Orange Inflatable   Blue Inflatable
GATE (2P/2S)   Red Inflatable        White/blue Inflatable
Start/finish         RC boat and Inflatable  RC boats and Inflatable

<まとめ>
(1)Spreader/Offsetマークを設置。マーク1のポート側に設置。
(2)風上マーク(マーク1)Offsetマーク(マーク1A)間の距離について記述はない。
(3)風上レグとマーク1からOffsetマークへの方位間の角度についても記述ないが、ダイアグラムからはほぼ直角。
(4)マーク1Offsetマークは同一形状、代替マークも同一形状。

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

J24_diagram#4
2015
J/24 WORLD CHAMPIONSHIP

28th August to 4th September, Boltenhagen/Germany

SAILING INSTRUCTIONS
8. COURSES:

8.1 Courses will be windward/leeward with 5 legs (course 5) or four legs (course 4).
8.2 The diagrams in Attachment 2 show the courses.
---

8.4 An offset mark (designated mark 1a) will be used in conjunction with mark 1. The offset mark will be placed to the left of mark 1 (looking up wind) at approximately a right angle to the weather leg and approximately 10 – 15 boat lengths to port of mark 1.
8.5 Mark 2 will be a gate consisting of two marks (mark 2P and mark 2S). If the gate is not present, mark 2 shall be rounded to port.
---

8.7 No 5-leg course will be shortened to less than four legs in length, and no 4-leg course will be shortened to less than three legs in length.
For purpose of this SI only, the distance between mark 1 and the offset mark will not be regarded as a leg of the course. This changes RRS 33.

9. MARKS:
9.1 Mark 1 will be an orange inflatable mark, mark 1a will be a spare mark with yellow flag, marks 2P and 2S will be orange inflatable marks.
9.2 The following marks are rounding marks: 1, 1a, 2P, 2S
9.3 New marks, when used in accordance with SI 12.1 will be yellow inflatable marks.

<まとめ>
(1)Offsetマークを設置。マーク1の左側(風上に向かい)に設置。
(2)風上マーク(マーク1)とOffsetマーク(マーク1a)間の距離は約10-15艇身。<約70m110m>
(3)風上レグとOffsetマークへの方位間の角度はほぼ直角。
(4)マーク1Offsetマークは形状が異なる。代替マークは同一形状。
(5)特記事項: 帆走指示書8.7において『当条項に限り、マーク1Offsetマーク間の距離は、コースのレグとはみなさない』としている。すなわち "レグ数" としてはカウントしないという意味である。言い換えれば、「当項以外ではマーク1Offsetマークとの間は、他のレグとなんら変わらない"独立した1つのレグ"である。」

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
Ia_laISAF Race Management Manual 2011 Version
POWERPOINT

An offset mark following Mark 1 is designated Mark 1a set approximately 60 m at 80° – 90°° off the wind.

BOOKLET
J.2.4. Off-set mark
This is the term applied to a mark which is set some 50 to 100 metres on the port side of mark 1. It is designed to take the fleet away from mark 1 before the boats set off on the run and hoist spinnakers, if any .
Its location in terms of distance and angle from mark 1 are very class specific and the advice of the class association should be sought at an early stage of the planning process.

Offset Mark / Spreader Markを適用した帆走指示書まとめpdf:「offset_spreader_mark_sis.pdf」をダウンロード
Dragon SIs:「dragon_world_2015_sis.pdf」をダウンロード

Snipe SIs:「snipe_who_2014_sis.pdf」をダウンロード

Melges SIs:「melges_worlds_2014_sis.pdf」をダウンロード
J/24 SIs:「j24_worlds_2015_sis.pdf」をダウンロード


関連記事:2014-10-27『読者からの質問と回答 「オフセット・マークとゲート」』http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-3865.html

2016-04-17追加:
オフセットマーク設置時におけるペナルティー履行の特殊例:

ISAF Sailing World Cup 2016
NOTICE OF RACE & SAILING INSTRUCTIONS (NoR/SI)
2.10 In RRS 44.2 insert after the first sentence: However if Mark 1a is set, a boat may delay taking a penalty for an incident in the zone around Mark 1 or on the leg between Mark 1 and Mark 1a, until she has passed Mark 1a.

| | コメント (0)

2015年6月12日 (金)

読者からの質問と回答 「ウインドサーフィン富沢選手のインシデント」

読者からの質問:
2013-12-10
記事「RRS2013-2016 緊急変更と誤記訂正 -ウインドサーフィン規則」http://ventoorientale.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/rrs2013-2016-is.html 
に関して、読者<沖縄ウインドサーファーさん>から 2015510日(日)1315分、次の質問が投稿されました。
 「上記写真で両艇失格とありますが、ウクライナ選手の失格理由はルームを与えていないということでしょうか?」
 「また富沢はなぜ失格になるのでしょうか? よろしくお願いします。」

----------------------------------------------------------------------------------------------------------
編集者による回答:
できるだけ早急に返事をするよう心掛けていますが、この時期大きなレガッタのレース委員長を務め
極めて多忙であったため回答が遅れました。申し訳ありません。

2008年の北京オリンピックで起きたこのケース(インシデント)に関しては、編集者も沖縄ウインドサーファーさんと同じような疑問を抱きました。あれから7年も経ちますが、当時親しくしている(オリンピックに詳しい)ジャッジに質問を投げかけたことを今思い出した次第です。
当時のメイルの「やりとり」が残っていましたので、下記します。〈注:文中にあるSenとは編集者の名前です〉

結論:URKからJPNへの抗議の判決は、JPN broke rule 11 and UKR broke rule 18.2(a). Both are DSQ. でした。
尚同じインシデントで、JPNからUKRへの抗議(No.73)は抗議の要件不備<相手に通告していない>のため Invalid(無効)となっている。

**************************************************************
Isaf_protest74_closeupOlympic Protest 74;
Wednesday, 27 August 2008

I received a Q&A from Sen about one of the Olympic Protests; nr. 74
He asked a couple of questions. For your information I've first copied the facts found, conclusion and decision from the panel as they were published:
-----------------------------------------
Protest No. 74;
Event: RS:X - Men;
Race: 8;
Protestor: UKR - Protestee: JPN
Protest details: N12


Facts found:
UKR on starboard and JPN on port approached the leeward mark with JPN on the layline. UKR gybed to port. Soon afterwards JPN established an overlap to windward and there was contact between the two boards. The two boards were approximately 5 seconds from the mark. The contact continued until UKR hit the mark. JPN luffed and slowed down. Neither boat did a penalty turn.

Olym_p74s_4
Conclusion:
JPN failed to keep clear as a windward boat. UKR did not make every attempt to give JPN room at the mark. JPN broke rule 11 and UKR broke rule 18.2(a)
Rule(s) applicable: RRS 11 and 18.2(a)


Decision: JPN and UKR are disqualified from race 8.
<右上ISAFweb参照>
---------------------------------------
These were Sen's questions (abbreviated; red)

In Protest No. 74, JPN broke rule 11, UKR broke rule 18.2(a) and both boards were DSQ. This case happened near the leeward (gate) mark, but which mark was not clear. Was it 3S, 3P, 4S, or 4P in the facts? I guess the mark is 3P or 4P.

There are relatively not many cases that both boats are DSQ. The typical example is that a keep clear boat breaks a rule and is DSQ-ed and the other boat with R-O-W breaks rule 14 and is also DSQ-ed.

While there are so many cases that a boat is DSQ under her breach of a rule and another boat is exonerated as the innocent victim under rule 64.1(b), Protest No. 74 is neither one nor the other in the examples mentioned above. Then by only the facts, I cannot understand why both boards were DSQ?

Please show me the supposed situation or the diagram.

-----------------------------------------
Jpn_ukr_sail_world_22Jpn_ukr_sail_world_21_4First of all, the protest involves surfboards, so we need to go to appendix B as well as the "normal" rules.
In appendix B a lot of rules are changed or deleted. For instance boards may touch a mark. They shall not hold on to it, but touching is no problem.
I've drawn the following TSS diagrams from the facts in the protest:


static image <右上ダイアグラム>
animated image (one by one) <省略>

All through the incident UKR was R-O-W boat. First as SB-, then as clear ahead- and finally as leeward boat. When JPN established a windward overlap she had no protection from rule 15 and if after her gybe UKR did not change course, JPN had also no solace from rule 16. When the overlap was established JPN had to keep clear.


She failed to do so and broke rule 11. Nobody forced her to do this, so rule 64.1(b) does not come into play.

The facts state that first contact occurred approximately five seconds from the mark. Five seconds is a long time, so initial contact occurred well before the boards approached the mark. It was blowing 14 - 17 kts in race 8. The course stated in the SI was a trapezium Outer Loop so mark 3P sounds about right.

Once approaching that mark, JPN - still keep clear board - had to be given room as inside board. Boards don't have rule 18.2(b) and 18.2(c). Both are deleted in appendix B.


Once you establish an overlap, the other board has to give you room to pass the mark.
By not giving that room, while JPN was inside boat, UKR broke rule 18.2(a).

Both boards broke a rule, neither was forced to do so, therefore both were disqualified.
UPDATE: 28/08/08; 18:22 hours


Photo from Guy Nowell on SailWorld.com <右SailWorld>

Bill Heintz <a mailing fellow> mailed me today with a link to a series of photos capturing the sequence of this protest. We can't see the initial gybe and start of the overlap, nor the distance to the mark, but it illustrates UKR's infringement of 18.2(a) perfectly.
Got to: Just Too Good To Miss!
Thanks Bill!

Guy_nowell_img_2135_2PS: 証拠となる? 決定的瞬間を連続写真で撮影したGuy Nowell さん、見事なものです。
彼とは韓国でのレガッタでご一緒したことがあります。<左から二番目オレンジコート、右端編集者>
富沢さんには失礼かも知れませんが、写真に付けられた "コメント" 流石ですね・・・・・

'Hey look! There’s a mark coming up!'   No way am I letting you in there...   See, I told you so...   ...but I can just sort of bounce off it...   ...slip round the right side......   ...and leave you in the soup.   Sayonara, mate... Protest, what protest?

| | コメント (0)

より以前の記事一覧